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718 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/21(土) 22:42:21.18
「青空のむこう」で話題になった、アレックス・シアラ―の児童書(?)『スノードーム』。
子供の頃に読んだきりだから細部は間違ってるかもしれないけど、大筋はあってるはず。

 
科学者である独身中年男性Yの職場には、同じく科学者である青年Aがいる。
優秀で研究熱心なAだが、人との関わり合いを避け、家族も恋人もいないようだった。
そんなAの机の上には、スノードームのような置物が一つ置いてある。
Aがとても大事に扱っているそれが気になったYは、ある日Aが席を外した隙に、
それを手に取り眺めてみる。中にはごく平凡な街並みが広がっていた。
そこへAが戻り、勝手なことをするなと激怒。次の日出社すると、
スノードームはAの机の上にねじで固定されていた。
YはAのあまりの神経質さに違和感を覚えるものの、触らぬ神に祟りなしと、なにも詮索はしない。
 
しばらくして、Aが忽然と姿を消す。意外にもAが自分宛に手紙を残していることに気がつくY。
そこにはAが語ることのなかった、これまでの人生が綴られていた。


719 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/21(土) 22:48:13.57
Aは幼い頃、画家である父と二人、貧しくはあるがそれなりに幸せな生活を送っていた。
父には、自由奔放で魅力的な、踊り子の恋人Pがいる。Aもその恋人によく懐いていた。

Aの近所には、天才発明家兼芸術家Bが住んでいた。
裕福であるが生まれつき非常に醜いBは、誰にも愛されることなく一人寂しく暮らし、
時折個展を開いては自らの作品を公開している。
その個展を覗いたことがきっかけで、AとBは知り合うことになる。
自分の子を育てることを諦めていたBは、Aのことを非常に可愛がる。
AはBを少し苦手と感じながらも、その作品に魅了され、交流を続けていた。
そんな中、父の恋人P、次いで父が謎の失踪を遂げる。
途方に暮れるAだが、Bの養子として迎えられ、新たな生活が始まった。
BはAが実の子であるかのように愛情を注ぎ、何不自由のない暮らしをさせる。
だがAはBに恩義を感じつつも、Bの望むようにBを「父さん」と呼ぶことはどうしてもできずにいた。


720 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/21(土) 22:51:45.77
月日が経ち立派に成長したAは、国内有数の大学への進学が決まる。
ずっと自分を支えてくれたBに対して愛情が芽生えていることを自覚し、
初めてBを「父さん」と呼ぼうと決意するA。
だがその矢先に、Bは自宅で事故死をしてしまう。階段を上る途中に転落したBの腕には、
Aの年頃には合わない大量のおもちゃと、
知らない名前に「Bおじさんより」と書かれたバースデーケーキが抱えられていた。
Bの死を悼みつつもそれらを不審に思うAは、ついにBの日記を発見し、その内容に衝撃を受ける。

721 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/21(土) 22:59:31.91
BはPに恋をしていた。
しかしどうしても振り向かないPと自分の醜さに失望し、
無理やり自分のものにしてしまおうと考えるまでになった。
Bは自らの発明品を用いて、Pを顕微鏡を使わないと見えないくらいに小さくし、
作品であるスノードームに閉じ込めてしまう。
鍵の掛かった研究室にPの入ったドームを置き、時間を見つけては彼女を踊らせそれを眺めるB。
食事や生活用品を小さくしてはドームの天井に開けた扉から送り込み、廃棄物を取りだし、Pを飼うように生かしていた。
しかしPは日に日に衰弱し、このままでは死んでしまうとBは焦り始める。
体を元の大きさに戻そうとするが、どうしてもそのための装置が作れない。
歪んではいるもののPに深い愛情を抱いていたBは、結局Aの父までも小さくし、Pと再会させる。
理不尽な仕打ちに始めこそ憤慨する二人であったが、時間を掛けてその生活に慣れ、子を儲けるにいたる。
Pの腹が膨らみ始めたことに気がついたBは激しく嫉妬し、
咄嗟にドームを割ろうとするが、Aの存在により思いとどまる。
やがて生まれる赤ん坊を見て、Bはその無垢な姿に感動する。

722 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/21(土) 23:01:14.61
生まれた子供は自分達の境遇を教えられず、また外の世界があまりにも大きいため認識もできず、
生きるとはこういうことだと思ったまますくすくと成長する。
Bは純粋なその子を我が子のように想い、様々な服やおもちゃを与え可愛がる。
PやAの父に対する嫉妬や憎しみもいつしかなくなり、Bは三人を温かく見守るようになっていた。
何も知らないAと、閉じ込められたままの三人。
自分にも家族ができたと幸せを感じるBだったが、それでも良心は痛み、
とうとう事故で死ぬまで何年間も、三人を元に戻すため成果のでない研究を続けていた。
日記には、A達に対する愛情や罪悪感、そしてどうか許してほしいと願う気持ちがつらつらと書かれていた。

真実を知り愕然とするA。確かに芽生えていたBに対する愛情は消え、
Bの願いとは裏腹にどうしようもない憎しみを抱く。
そのまま大学へ進学したAは、ひたすら勉学に励み、科学者となり、奪われた家族を取り戻すため研究に打ち込む。
だが一向に結果が得られないまま、ドームの中の父とPは年老いていく。


723 名前:長くなったごめん :2012/04/21(土) 23:04:54.12
Aの手紙は、こう締めくくられていた。
自分は失われた家族との時間を少しでも取り戻しにいく。
Yは優秀な科学者であるし、信用のおける人物だと思う。
どうか自分達を生かし、研究を引き継いでほしい、と。

手紙を読み終えたYは、信じられない気持ちで卓上のスノードームを顕微鏡で覗きこむ。
そこには確かに、家族に囲まれ幸せそうに笑うAの姿があった。


724 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/22(日) 00:27:44.85
>>718
面白かった!
けど、後味はそんなに悪くないような…

729 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/22(日) 12:39:23.78
>>718
面白かったし、長くても読みやすかった乙
ドーム内で産まれた子が可哀想だな
父ちゃん母ちゃんが死んだら後から来た兄貴と二人暮らし
恋や結婚を経験出来ないってことだし、もし普通サイズになれても、見知らぬ広大な世界に戸惑うだろうな

730 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/22(日) 15:01:26.90
>>720
>
「Bおじさんより」と書かれたバースデーケーキが抱えられていた。
この「Bおじさんより」がなんか悲しい
父さんって呼んであげれば良かったのに…と思ったらオチがすげぇw
やっぱりBおじさんでいいや

731 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/22(日) 15:44:44.96
>>730
ケーキとかプレゼントはA宛てでなくドーム内の子供宛てなんだと思うよ

733 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/22(日) 17:12:03.01
>>731
最後まで読んだからわかってるよ
わかっているけど最初に「Bおじさん」のくだりを読んだとき、胸にくるものがあった
一応それまでは「変人だけど良い人」風に語られてたから、せめて死ぬ前にと思っちゃった
まぁオチがry

734 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/22(日) 22:02:59.66
序盤でドームを動かした時に中がシェイクされて
中の人が…って話かと思ったので無事生きてるなら
ハッピーエンドに思えちゃう

735 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/23(月) 00:09:16.82
これって、今自分達が住んでる世界も造られたドームなのかもね、て話じゃないのか?

 

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