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935 名前:本当にあった怖い名無し :2012/04/29(日) 22:19:46.02
時代小説だが、作者と題名は忘れました。

江戸時代のある小藩の初老の用人が主人公。
ある日、その藩の藩主が亡くなり
暗愚な上に色好みな藩主だったために多くの側室がいて、
そういった女性が達は全て仏門に入るのが恒例だった。

で、主人公や上役達が作業を始めると、町娘Aに十数年以上も
年2両の捨て扶持を与えられ続けている事に気が付き
理由を調べてみると、何と藩主が十数年前に
当時15才で下女奉公をしていたAを気まぐれに
一度だけ手を付け、そのまま宿下りをさせた女性だった。

こういった「藩主の御手付き」になると
体面上はもう結婚どころか、他人との交流も制限され、
年2両の扶持でー生を実家の厄介になりながらの
飼い殺しになるしかないが、
それでは余りにも不憫と言う事で、大抵は2~3年後に
「お構い無し」の書面を下げ渡されて、解放してやるのが
通例だった。(その代わり年2両も止まる)

ところがAの場合、何かの手違いで解放の手続きがされず
そのまま忘れ去られていて、年2両を頂いているとはいえ
十数年の間に代替わりして兄の家となった実家で
いつまでも嫁にもやれない厄介者として、
外出も儘ならないまま30才を過ぎるまで放って置かれた上に
藩主が亡くなったからと、そのまま仏門に入れとは
余りにも理不尽だと、主人公は四角四面に事を運ぼうとする
上役と争ってまでして、何とかAが藩主の死の1ヶ月前に
「お構い無し」になっていたという事に出来た。


936 名前:935 :2012/04/29(日) 22:22:03.68
続き
これで失なった十数年は取り戻せないにしても
Aは自由になれると、主人公は決定をAに知らせた。
茫然としながらも喜ぶAだったが
程なくして、籠の鳥のはずだったAの妊娠が発覚し
全てがご破算となってしまった。

藩主への不義密通なのでAも相手の男も死罪を!!と
上役達は息巻いたが、そもそもが施政の手違いが元だと
主人公は必死で取り成し、やっと裁決権を持つ上役から
助命の確約を得て胸を撫で下ろした矢先に
Aが川に身を投げて自殺した事を知らされる。

上役が助命と引き換えに呈示した内容は
「不義を見逃す代わりに、今までの扶持を全て藩に返せ」と
言うもので、十数年分だと三十両以上となり
Aには到底不可能(月2両も殆ど兄夫婦に取り上げられていた)であり
もし処罰となったら、相手の名を追及されるのを恐れの事だった。
遣り切れない思いの主人公に追い打ちをかけるように
Aの実家に出入りしていた貸本屋の若い男が同じ場所で
入水自殺をし持っていた書置きに

Aの相手は自分だと言うこと、Aは淋しい日々を僅かに自由になる日銭で
お伽草子などの貸本を読む事でたけが唯一の楽しみであり
本を届けている内にお互いに想合う様になった。
Aの立場を踏まえて、今まで手も握る事もなく
ひたすら「お構い無し」となる日を持ち望んでいたが
とうとうAが30才を過えてしまったある日
絶望から一度だけ過ちを冒しました。
その為にAが死ななくてはいけないのなら自分も
Aとお腹の子の処にいきます。とあった。


937 名前:935 :2012/04/29(日) 22:24:16.85
Aと男の死に「これで大義が守られたわい」と
したり顔の上役達を見ながら、
「下女奉公の15才の生娘を手折って放り出した主君、
15年以上も手続きを忘れていた事務方、長年耐えていた
Aや男のたった一度の過ちと、どちらに罪があるのか
暗澹とする主人公で終り。

何ていうか、ずっとAの扶持を横取りしていた兄夫婦は
そのまま野放しだし、Aが命懸けで守ったはずの
恋人はあっさり後追い自殺してしまうしで
いろいろ後味悪かった。

 

三屋清左衛門残日録 (文春文庫)(類似話収録)
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