鬼来迎(山岸凉子)

153 名前:本当にあった怖い名無し :2012/06/09(土) 14:03:53.75
散々既出だろうけど「鬼来迎」(記憶だけで書くので間違ってたらごめん)

主人公は、都会の人間関係に疲れて故郷に戻ってきたものの、実家に居場所がなく、
ある海辺に建つお宅に住み込みの家政婦として勤めだした若い女性
そのお宅には、事故で夫を亡くした上品な未亡人、古参で年配の家政婦がいる
それと何か事情のあるらしい未亡人の息子がいるが、
主人公はそのお世話を任されることはなく、未亡人と古参の家政婦が甲斐甲斐しく世話をしている
仕事は楽で、未亡人は優しく、人間関係に疲れていた主人公は安らぎを覚えるが、
夜になると、その息子が叫ぶことがあり、その声に悩まされる
息子のことは主人公の目に触れないよう、さりげなくガードされているが、
ある時、目撃した息子には片手がなく、明らかに正気を失っていて、暗い目で暴れ、
それを必死ですがりつくように未亡人が抑えていた
これでは人目を避けるのも当然と納得し、未亡人の苦労を思う主人公だったが、
たまたま知り合った同年輩の女性に息子の幼い時の話を聞いたところ、
先天性の障害だと思っていた息子が、過去は明るく利発な少年であったと聞かされて驚く
しかも両手も揃っていて、心身共に健康な少年であったらしい
疑問の芽を主人公が抱く中、地震が起きる
たまたま浜にいた主人公は海の水が急に引くところを目撃する
漁師が津波の危険性を叫び、慌てて未亡人に危険を知らせに戻ったところ、
主人公の目に飛び込んできたのは、普段の優しげな未亡人とは打って変わって、
髪も着物も乱れ、般若の如く泣き笑いのような、恐ろしくも悲しい表情を浮かべながら、
「お前のせいであの人は死んだ」「お前を助けようとしなければ」「お前さえいなければ」
「お前が死ねば良かったのに」と息子を執拗に打ち据える未亡人と、
抵抗もできずに、主人公を悩ませたあの叫び声を上げ続ける息子の姿だった


154 名前:本当にあった怖い名無し :2012/06/09(土) 14:05:44.80
あまりの光景に身動きも出来ない主人公だが、凍りついたような状況を打ち砕くように津波が襲う
何もかも波に飲まれて、気が付いた時には救助されて病院のベッドに寝かされていた
未亡人と息子は助からなかったらしい
悪夢のようなあの時のことは、真相が確かめられないまま、
主人公が鬼の面を目撃した時など、フラッシュバックのように浮かぶようになった
また都会で会社勤めを始めた主人公だが、社内でキツい言い方をされたり、感情をぶつけられても、
もう傷ついたり、ストレスに思うこともなくなった
そのことで慰められても「優しい顔をして、お腹の中が違うより、ストレートで裏がない方がずっといい」と笑う
その時に主人公の脳裏に浮かぶのはやはり、あの時の未亡人と息子の図であった

脳内補完が大分あるかな?w


172 名前:本当にあった怖い名無し :2012/06/10(日) 00:19:39.12
鬼来迎は、妻(女)>母になっちゃった話だよね。
息子を助けるために、夫が犠牲になったことが許せなくて虐めてるんでしょ?
息子への愛より、最愛の夫を奪われた憎しみが勝っちゃったという。

174 名前:本当にあった怖い名無し :2012/06/10(日) 01:57:31.60
>>172
そう、夫>>>>超えられない壁>子供 だったんだよね。
衝撃だった。
山岸凉子の作品は他も考えさせられる話が多い。

 

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