ホーム » 小説 » 小説/は行 » 俘囚(海野十三)

384 名前:本当にあった怖い名無し :2012/06/17(日) 21:35:12.59
海野十三の短編「俘囚」

高名な医学者「室戸博士」の妻「魚子」は、不気味な研究に没頭してばかり
&挙動に嫌悪感を覚えるようになった夫に愛想をつかして、
若い銀行員「松永」と不倫していたが、ある夜酔った勢いから夫の殺害を決意する。

松永をたきつけて博士を庭の古井戸に突き落とした後、
上から庭石を投げ入れ鉄の蓋を閉める、という計画は苦も無く成功したが、
数日後二人は死んだと思っていた博士に襲われ、魚子は四肢切断の上
顔に松永の鼻と唇を移植され(自前の鼻・口はそのまま)
松永は先述の鼻・唇切除の後、明示されてはいないものの博士の実験材料にされ、殺されたのだろうと思われる。
そうして魚子は研究室の屋根裏部屋に監禁され、
天覗き穴から研究室を見れる以外は夫に食事を与えられるだけの日々をおくることに
(なおその数日間の間に、博士の研究資金が底ついてたことと、松永の職場で密室強盗殺人が起こったことが記述されている)


385 名前:本当にあった怖い名無し :2012/06/17(日) 21:35:41.95
ある日の未明室戸邸に警察が踏み込んできて、博士の身柄を抑えようとしたが行方は発見できず引き上げていった。
助けを呼ぶ事もできないままその一部始終を眺めていた魚子だったが、
その際警官が移動させた壺がひとりでに動き出したのを見て
とうとうこの家が常識の及ばぬ空間になったと怯える。
しかもそれから夫は姿をあらわさなくなり、彼女は飲食が全く出来なくなってしまう。

7日たち、餓死寸前の魚子は警察が今度は探偵の「帆村荘六」を伴って家宅捜索に来たのを目撃する。
帆村は「室戸博士はずっとここにいた」と推理し件の壺を割ると中から頭と半分の胴体だけの博士の死体が現れた。
彼は「肉体を最小限にすることで脳の機能を最大活用できる」という自説を自身で研究していたのだ。
帆村はまた研究室に隠された博士の「人造手足」と、それを(頭と胴体だけの)体に装着するためのギミックも発見し、
壺の位置が変わったことで身動きが取れずそのまま餓死してしまった、と解説する。
室戸博士は銀行強盗事件の犯人で、小さい体と分解した義肢を小さい空気穴から侵入させていたというのが密室のトリック。

そうした「名推理」を披露した帆村探偵だったが、行方知れずの妻の所在については
「殺して日本アルプスに埋めた」という博士の手記を真に受けてしまう。
天井裏の魚子は自分がここにいる事に気付かず立ち去っていく帆村と警察を恨み、
また「自分が死んだら妻もそのまま死ぬ」という夫の真意を察知し、死を覚悟する…。


386 名前:本当にあった怖い名無し :2012/06/17(日) 22:40:33.15
何で口が二つもあるのに助けてー!とか叫べないの?

387 名前:本当にあった怖い名無し :2012/06/17(日) 23:15:26.83
>>386
薬で喉を潰されて、小さな声しか出せなくされていた。
あと愛人の唇は「鎧戸のように」唇が二重になる形に移植された

変形・合体ロボットみたいな状態だった博士とか戦前に書かれた科学小説らしいレトロSF色と
個人による監禁の「犯人が死んで被害者が放置され死ぬおそれ」空恐ろしさのギャップがまた何ともいえない


388 名前:本当にあった怖い名無し :2012/06/17(日) 23:33:36.48
>>387
成程。
この作家とか江戸川乱歩とか夢野久作とかレトロ感が何とも言えない。
ただ後味悪く感じるほどには(荒唐無稽過ぎて)感情移入できないけど
個人的には好き。

 

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