カラカラ(塚本邦雄)

923 名前:1/2 :2012/07/03(火) 11:58:08.44
塚本邦雄「カラカラ」
拷問注意。

「テルマエという言葉を御存じでしょうか」
淵上青年のもとに不躾な電話が来た。
確か大浴場のことでしょう、古代ローマの。
「ぴたり御名答。では貴方様を今週の招待客に決めさせていただきます」

電話の主は続ける、
完全会員制豪華浴場【カラカラ】開業記念キャンペーン、簡単なクイズに正解するだけで無料御招待。
淵上青年は高額の仕送りで暢気に暮らす高等遊民、暇を持て余しているので出掛ける。

新手の風俗ではないかと警戒したが、【カラカラ】の内部は古代ローマ風の本格派である。
案内役の暗い目をした青年に傅かれて入浴する。
牛乳と蜂蜜の湯(若返りと強精)からあがり、シャワーを浴びようとするが、マッサージが先、と止められる。

次の間にはビニール張りの鉄製寝台、足は床に固定されている。
案内役は有無を言わせず淵上青年を寝台に仰向かせ、手足を拘束する。
案内役が猿轡を噛ませる。
ガラス戸越しの中庭には、艶々しい毛並みの愛玩犬がじゃれている。
左右の壁には暗い窓があり、見物人の気配がある。


924 名前:2/2 :2012/07/03(火) 12:03:57.86
【カラカラ】の主人が冷たい目で見下ろす。

淵上青年の父は元憲兵大尉、コミュニスト殺しの拷問マニアだった。
戦時中の拷問で、主人の弟と案内役の青年の父は殺された。

案内役がガラス戸を開けると、愛玩犬が淵上青年の体に群がり、乳と蜜を舐める。
犬どもが最後の蜜を舐めると同時に、淵上青年は失神する。
失神から覚めると、主人は新しい乳と蜜を刷毛で塗り込める。
腋下と内股と足裏には、バターの下塗りまでおこなった。
暗い窓からは口笛と拍手が聞こえる。

淵上憲兵大尉は、犠牲者に同じ拷問をおこなった。舐めたのは軍用犬だが。
コミュニストの死体には
傷一つなかったという。

狂った淵上青年は記憶を失い、牛乳の匂いでパニックを起こし、犬を恐れるようになりましたとさ。

自分だったら、狂うより早く血管破れて死ぬ自信あるww


925 名前:追加 :2012/07/03(火) 12:07:37.43
>>924
うっかり消した部分を追加。

淵上の父は戦争裁判を逃れてインドに亡命し、麻の栽培に成功して淵上青年に高額の仕送りをしている。


930 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/03(火) 14:05:26.46
>>924
犬かわいそう

937 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/03(火) 16:43:04.58
>>923くすぐったくて発狂したって事?
てか本人を拷問しろよ。

952 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/04(水) 07:07:41.19
>>924
>
乳と蜜を舐める。
おっぱい舐められたのかと思った

 

塚本邦雄全集〈第5巻〉小説(1)
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