ホーム » 小説 » 小説/あ行 » ヴィルジニーとポール(ヴィリエ・ド・リラダン)

183 名前:1/2 :2012/07/13(金) 13:57:47.34
ヴィリエ・ド・リラダン「ヴィルジニーとポール」

月の美しい四月の夜、幼い恋人同士が修道院寄宿舎の鉄柵越しに語り合っている。
二人は婚約した従兄妹同士、どちらもまだ15歳。これが初めての二人きりの逢瀬である。

ヴィルジニー、なんて可愛い手なんだ。この花束を受け取って。
うちの庭から摘んできたんだ、お金は掛かってないけど僕の心づくしだよ。
「まあ、ポール!嬉しいわ。それはそうと、随分息を切らしていらっしゃるのね」
だって、駆けてきたんだもの。
今日はパパがうまい取引をしたんだ、土地を相場の半額で買ったのさ。相手が売り急いでいたからね。
パパの機嫌がいいから、お小遣を下さるんじゃないかと、側にくっついてたんだ。
「あたしたち3年後に結婚するのね、あなたが司法試験に合格すれば!」
僕は必ず弁護士になるよ、そしてお金を儲けるんだ。
有名になるまで何ヶ月か我慢したら、もっと儲かるよ。
ところで君、この寄宿学校でうまくやってる?
「もちろんよ、うちの学校、いいとこのお嬢さんが大勢いるの。あたし全員と仲良しなのよ」


184 名前:2/2 :2012/07/13(金) 13:59:36.55
「ところでポール、伯母様にお手紙お出しになりまして?来週はお誕生日よ」
あの伯母様は苦手だなぁ、僕をいつまでも子供扱いして。
余ったボンボンなんかをくれるんだよ、銀貨ぐらいくれてもいいだろうに。
「ポール、お年寄りには優しく、ね。あたしたちに遺産を下さるかもしれないんですから」

ねえヴィルジニー、結婚したら田舎に出掛けようよ。田舎は街より生活費がかからないんだよ。
「ぜひそうしましょう。あたしあなたのために、うんと倹約しますわ」
「ママがあたしの持参金に、農園つきの田舎の別荘を下さるの。農園からもいくらか収入があがるはずですわ」
そいつは素敵だ、僕は猟が好きだからうんと獲物を取るよ。君のために倹約するよ。

夜鶯(ロシニョール)が鳴いているね。混じりっ気のない銀のように美しいじゃないか。
それはそうと、来週は一緒に伯母様の所に行こうよ、伯母様のお金でご馳走を食べに。

(‘A`)美しい星月夜、美しく初々しい恋人達…


185 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/13(金) 15:18:06.25

186 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/13(金) 15:30:50.14
若く初々しい恋人達だけど銭のことばっかりやん
ってことだろうか

188 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/13(金) 15:33:07.34
身内を金づるとしか思ってない
ってことでもあるね

190 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/13(金) 19:27:09.54
よほどお金持ちっぽいのに豪遊じゃなくてうんと倹約ってのもなんか後味悪いな……
15ならそんなこと考えずに非現実的で無駄遣いな夢を語り合いたかろうに。

191 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/13(金) 19:29:12.88
それはそれで遺産食い潰して家柄ごと落ち目に、なんて予想ができてモヤモヤするけどな

192 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/13(金) 20:18:04.50
昔は弁護士は特に尊敬されない職業だったらしいから。
ソースはオースティン「自負と偏見」、バルザック「ラブイユーズ」

金持ちではあるが夫が汗水流して働いて、妻を養う階級ってことだな。
金利でウハウハとか、不動産持ってて家賃&地代で左団扇ってわけでもない、
寄宿学校には入れるが「いいとこのお嬢さん」ではない。

 

世界幻想名作集 (河出文庫―渋沢龍彦コレクション)
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