ホーム » 小説 » 小説/た行 » たったひとつの冴えたやりかた(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア)

242 名前:「たったひとつの冴えたやりかた」1/5 :2012/07/18(水) 16:53:12.99
主人公コーティーは15歳の元気少女。子どもの頃から宇宙に興味があり、
頭脳明晰でおてんばなヒロイン。
誕生日に小型宇宙船を買ってもらったのをきっかけに、宇宙の旅に飛び出した。
家族には、安全な観光地の星域に行くと伝えてあったが、実は目的は未知の領域。
軍や政府もまだたどり着いていない、宇宙の果てに探険し、
エイリアンとファーストコンタクトするのが彼女の長年の夢だった。

嘘の申請をし、物資を補給してまんまと目的方向へと旅立ったコーティは、
途中の宇宙空間で、メッセージの入ったカプセルを回収する。
(この世界では、無線も届かない遠距離での交信は、メッセージやデータを
 カプセルに入れてミサイルみたいに飛ばして行う)
それは、軍に属する二人のパイロットからのSOSメッセージだった。
どうやら未知の星で、緊急事態に陥っているらしい。
すぐにメッセージを元のルート(連合軍の本部に届く)に戻したコーディーだが、
少女らしい正義感から、個人的に二人の捜索をしようと決心する。

そのカプセルを回収したときに、何だかカプセル全体を金色のホコリが覆っているのに気づくコーティー。
何だかわからないままに、きれいにふきとってからリリースする。


243 名前:「たったひとつの冴えたやりかた」2/5 :2012/07/18(水) 16:55:17.50
その後しばらく眠って起きると、誰かの声が話しかけてきて、コーティーは仰天する。
その声は、「自分は生き物の脳に寄生する知的生命体だ」と語る。
どうやら、彼女の身体の中に入り込んだエイリアンが、彼女の声を借りて話しているらしい。
そのエイリアンの実態はごく小さく、先ほどのメッセージカプセルにくっついてこの船に乗り込んだらしい。
エイリアンは自らを「シル」と名乗り、しばらくコーティーの身体に寄生させてほしいと頼む。

最初は嫌がっていたコーティーだが、シルと話しているうちに、その生物の年齢がまだ若く、
初めての旅に不安と喜びを感じているのに共感を持つ。シルの言葉が、自分自身の声で発せられるので、
同じ年の女の子の友達ができたような気もしてうれしかったのもあった。
シルに親近感を持ったコーティーは、彼女(?)にシルの一族の話を聞かせてもらう。

シルの一族は、イーアと呼ばれ、ドロンという生物に寄生し生きてきた。
ドロンは単体では動物でしかなく、知性を持たないが、
イーアが脳に寄生することで文明的な生活をし、繁栄してきた。
ドロンの生殖もイーアがコントロールし、自分たちの宿主を適切に増やしていく。
イーアも単体では何もできない生き物なので、お互いに共生して平和に暮らしてきた。


244 名前:「たったひとつの冴えたやりかた」3/5 :2012/07/18(水) 16:56:50.58
ただ、イーアの一族は、知性がすべての生き物なので、生まれたら必ず年長者の教育が必要であるらしい。
年長者の管理なく生まれたイーアは非常に危険だという。

先ほどのSOSメッセージを送ってきた二人は、そのイーアとドロンの住む星に寄ったことがあるらしい。
他の星から来た生き物が珍しかったシルは、宇宙を旅したいと自分のドロンを抜け出し、
二人の宇宙船にくっついていったのだ。

あれこれ楽しくおしゃべりしながら旅をするうち、SOSを送った宇宙船が
不時着した星を発見するコーティーとシル。救出に向かうが、壊れた宇宙船は無人だった。
残された監視カメラに残った映像を見てみると、不時着してからの二人の男性パイロットの姿が映っていた。

最初は、普通に話していた二人の男性だが、徐々におかしくなっていく。
最終的に男同士でセックスを始める始末。しかし奇行を繰り返し、
支離滅裂になりながらも、何物かに身体をのっとられているかのうように、葛藤し、絶望する様子が見える。
映像は、二人がどこかに去ってしまうところで終わっていた。

結局男性パイロット二人は、長い距離をさまよった後、氷河のある地点で死んでいた。
遺体回収をあきらめ、コーティーは二人の墓標を作り、自分の船に戻る。


245 名前:「たったひとつの冴えたやりかた」4/5 :2012/07/18(水) 16:57:54.19
ふと気づくと、頭の中のシルが黙り込んでいる。コーティーが問いただすと、
最初ははぐらかしていたシルだが、とうとう恐ろしい不安を語る。

先ほどのパイロットたちは、イーアの胞子を母星からくっつけてきてしまった
ようだ。通常、年長者の管理がなくては孵化させないはずの胞子が、自然に孵化し、
パイロットに寄生してしまった。指導者のいない状況で成長したイーアは、
おのれをコントロールできず、ただ本能のまま生殖しようと暴走する。
知性のないイーアは、化け物のようなものだとシルは語る。寄生主のことなど考えないので、
宿主をあっというまに食いあらし、さらに胞子を増やそうと孵化に適した状況に移動する……。
イーアの胞子は、気温の低いところでのみ孵化するらしい。

そして、シルは恐るべきことを語る。私自身もまだ、すべての教育を受けていないと。
イーアの身に着けるべき能力で一番重要なのが、本能のコントロール。それをシルは十分に学んでいない。
さきほどのパイロットの惨状を見て、そのことに改めて気づいたのだという。


246 名前:「たったひとつの冴えたやりかた」5/5 :2012/07/18(水) 16:59:13.61
慌てたコーティーが、シルに離れてくれるよう頼むが、離れることができない。
コーティーがドロンとは構造が違っているのと、寄生するうちにシルが成長し、
抜け出せなくなってしまったのだ。そうするうちに、シルに本能の波が襲ってくる。
イーアは単体でも胞子を生み出せるため、このままコーティーが地球に戻れば、
多くの人が胞子に寄生されてしまう。コールドスリープをして救出を待っても、
イーアは低温下では眠るどころか増えてしまう。

絶望するコーティーとシル。しかし二人の間には友情が生まれていた。
しばらくの後、コーティーはある決心をする。
「このまま恒星に突っ込もう」。悲しみながらも、賛成するシル。
だが、船内の温度が上がるにつれて、シルの中で本能が暴走しはじめ、
恒星が近づくほどコーティーを妨害し始める。「自分を殺してほしい」と泣くシル。
コーティーはそれを優しくなだめながら、両親と地球人に向けて最期のメッセージカプセルを作成し、
熱処理して残った胞子を取り除いた後、軍の本部へと送る。

後日、地球人がカプセルを開いたときには、すでに長い時間が経った後で、
コーティーはもう恒星に突っ込んだ後。コーティーは、事の顛末を詳細にレポートしたうえで、
「シルは大事な友達」だからうらまないでほしいと伝えていた。
残された人たちは、勇敢な少女とその友人を讃えて悲しんだ……っていうラスト。


247 名前:本当にあった怖い名無し :2012/07/18(水) 17:02:30.49
すみません、一部改行失敗しました。

有名なSFだし、どちらかというと感動系として知られている話なのですが
個人的には後味の悪さのほうが先立ちました。面白かったんだけど。

無鉄砲な若者コンビが宇宙に飛び出したから、起こった悲劇で、
自業自得にも思えるけど、少年少女SFではお決まりの設定だし……。

ほんとにこれしか方法なかったのか?って考えて、もやもやした。

とにかくコーティーが優しくて元気でかわいいのもあって、
何とも言えない気持ちになる。ワクワクするようなノリで始まるから、
当然ハッピーエンドだと思ってたのに。

 

たったひとつの冴えたやりかた 改訳版
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