闇の哄笑(まつざきあけみ)

725 名前:1/3 :2012/08/06(月) 10:27:10.40
まつざきあけみ「闇の哄笑」

いじめられっ子の女子中学生、利子が飛び降り自殺した。
利子の母は病弱で、親友の茉莉の父が経営する会社でお情けで雇ってもらっていた。
「あの子が虐められているなんて気づかなかった。情けない母親ですよね…
 お嬢様、あの子の日記を持っていてください。私にはとても読めません」

利子は学年中から虐められていたが、母を心配させるわけにはいかないと、いつも健気に笑っていた。
だから茉莉も、自殺するほど苦しんでいるとは思わなかったのだ。
利子の母から日記を托された茉莉はやっと真相を知り、復讐を誓う。
美少女の茉莉が付き合っていたイケメンの生徒会長、神崎は積極的に賛同こそしなかったが、止めなかった。

担任の熱血教師がマスコミの総力取材という名の攻撃を受け、左遷される。
茉莉が、利子の日記のコピーをあちこちに送り付けたのだ。

教師は、利子が手に負えない不良に虐められている時には決して現れず、
後になって、気がつかなかっただの急用があっただのと言い訳して謝るのだった。
しかも、
「お前は親友の茉莉とは違ってブスなんだ。せめて愛想よくしろ」
と見当違いの指導までした。
利子はそれらを全て日記に書いていた。


726 名前:2/3 :2012/08/06(月) 10:28:27.95
次に職員室で不審火騒ぎがあり、級長の女子が発狂して入院した。

利子が自分のテストをカンニングした事に気づいた級長は、利子を脅迫してテスト用紙を盗ませた。
「数学で15点も取れたの初めてでしょ。カンニングを否定しても、あんたと私、みんなどっちを信用すると思う?」
盗難が何度も続き、さすがに教師も自衛する。
テスト用紙が当日朝に刷り直され、焦った級長は利子に職員室への放火を命じた。

これも、日記で真相を知った茉莉の工作。級長はおそらく転校するだろう。

「利子ちゃんは日記に、学校に嫌な悪魔が三人いるって書いてた。あと一人は誰かしら…」

ある日、茉莉はクラスの女子が利子の机に、茉莉がお揃いでプレゼントしたレノマのシャーペンを返すのを目撃する。
詰め寄る茉莉に、女子は、あれは貰ったものだと言い張る。
最初は取り上げるつもりだったが、利子が
「欲しけりゃやるよ、そんなもん」
と暗い表情で言い捨てたとか。
女子はさらに、茉莉がお揃いでプレゼントしたフランス製シルクのリボンを、
男子グループが破いて捨てたのを見た、と言う。
男子グループが帰った後、利子はリボンを焼却炉に入れて笑いながら燃やしたとか。


727 名前:3/3 :2012/08/06(月) 10:29:41.83
釈然としないまま帰宅した茉莉は、日記の表紙にもう一冊の薄い隠し日記を発見する。

…私が虐められているところを見つけた茉莉ちゃんは、いつも嬉しそうな表情だ…
…幼稚園からの「親友」だもの、私は知っている…
…茉莉ちゃんは、本当に嬉しいことがあると口の右端がピクンと吊り上がるのだ…
…でも私が我慢しないと、お母さんはクビになってしまう…

茉莉は「大切な親友の利子ちゃん」にお揃いの服をプレゼントして、神崎先輩とのデートにまで連れ回していた。
神崎先輩は優しいから何も言わないが、利子は明らかに邪魔者。
利子も神崎先輩に憧れていたので、それは耐えがたいことだった。
美少女の茉莉に似合っても、不細工な利子には似合わぬ服や小物をプレゼント=押し付けられることも、
世間の目を理解するようになれば耐えがたいことだった。

…茉莉ちゃんは、心の中の悪魔に気づくことは一生ないんだろうか?…


731 名前:本当にあった怖い名無し :2012/08/06(月) 13:06:20.22
>>725-727
良かれと思ってやってた事が利子にとってはいじめに取られた訳か。
後味悪い

 

逢魔が刻 (ソノラマコミック文庫―華麗なる恐怖シリーズ)
逢魔が刻
(ソノラマコミック文庫 華麗なる恐怖シリーズ)