ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その132 » 遅咲きのピアニスト

820 名前:忍法帖【Lv=6,xxxP】 :2012/08/08(水) 17:56:11.66
ある所に、売れないピアニストがいた。
彼の専門はクラシックだが、明らかに才能がないため
オーケストラにも入れず細々とピアノを弾いて
わずかばかりの金を得る。

彼には妻と娘が一人いた。
売れない彼を献身的に支える妻と、優しい娘。
「お父さんのピアノ大好き!」という無邪気な娘に、
彼は努力した。

そして、その努力は彼が40を過ぎたころに実った。
それまでの流行の演奏法とは違い、彼が得意とする
ダイナミックな演奏法が世間に受け入れられたのだ。

彼は嬉々として娘にピアノを聴かせた。
ハイスクールに通う娘は、弾き終わった彼を冷たい目で見据えた。
「一銭の金にもならないピアノなんか、大嫌いよ。
 お母さんはもうお化粧もオシャレも出来ない年になったわ。
 若い時代を働き詰めで、こんな金にならないピアノを支えて。
 本当にバカみたいね」

もう彼女は、純粋に父のピアノを聴いていた子供ではなかった。
遅咲きの成功は、老婆のように老けた妻と引換えだった。
彼は柔らかなスカーフを妻にプレゼントしたが、
「もうこんなの似合わないから」と妻はさめざめと泣くだけだった。
そこで初めて彼は、自分のためだけにピアノを弾いていたことに気づいたのだ。

彼は60の誕生日に拳銃で自殺した。
そして娘は生涯クラシックを聴くことはなかったという。


821 名前:本当にあった怖い名無し :2012/08/08(水) 18:18:17.94
それがいつの作品かはしらんけど、現代日本の40台ってむしろ枯れてくれねえよな……

後味悪い
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