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427 名前:1/2 :2012/09/01(土) 00:05:08.29
ヒュー・ウォルポール「銀仮面」1933年発表。

50歳のオールドミス、ソニアはある日、美青年の乞食に声をかけられた。
美しさと礼儀正しさと哀れさに目がくらんだソニアは青年を連れ帰り、食事と小額紙幣を与えた。
青年は乞食ではなく売れない絵描きで、妻子がいた。
そして、ソニアのコレクションについて芸術談義を交わした。
コレクションの一つに道化師の銀仮面があったが、これに注目して褒めたのは青年が初めてだった。

青年が帰ってから、ソニアは白翡翠のシガレットケースが消えたことに気づいた。
数日後、青年はシガレットケースを返し、涙ながらに謝罪した。
ソニアはまた、食事と小額紙幣を与えた。

ソニアは心臓が少し弱いことを除けば健康な、がっしりした大女で、未婚で、母性愛を持て余していた。
友達は多かったが、友達の方はソニアをお人よしのただの知り合いと認識して、
暇つぶし・愚痴聞き・パーティーの人数合わせ要員として遇していた。

青年は妻子を連れてたびたび訪れるようになった。
妻はせいぜい16歳にしか見えない、美しいがむっつりした少女だった。
ソニアは言いくるめられて、青年を秘書として雇った。
青年の仕事ぶりは正確で真面目だったが、むっつりした妻まで一緒に連れて来るので、ソニアはキレる。
「5ポンドあげるからもう来ないで」


428 名前:2/2 :2012/09/01(土) 00:07:38.38
悲痛な叫びを上げて倒れた妻は客間に寝かされ、青年は看護のために赤ん坊と一緒に泊まり込む。
「かわいそうに、僕と結婚してから苦労しっぱなしで…乞食扱いが堪えたんですよ」

ソニアの屋敷には、妻の親戚と証する下層DQNが、可愛い姪(青年の妻)と赤ん坊の看病のためと証して入り浸るようになる。
長年仕えていたメイドは、呆れて暇乞いをする。
ブチ切れたソニアは、心臓発作で倒れる。

ソニアが気がつくと、メイドが使っていた屋根裏部屋に寝かされていた。
青年の妻はすっかり回復して、ソニアを看病する。
ただし、食事は粗末なものでドアには鍵がかかっている。

青年の妻はメイドのふりをして客に応対する。
医者の命令で面会禁止。絶対安静。お名前を伺って、ご主人さまがお元気になられたらお伝えします。
友達は、穴埋め要員のソニアのことを忘れていった。

ソニアから白紙委任状を手に入れた青年は、コレクションを売り払って親戚から喝采される。
最後に残った、例の銀仮面を屋根裏部屋の壁にかける青年。
「ご主人さま、貴女は重症ですからこの部屋から出られないと思います」
「何か気休めが必要ですよ、眺めて気が紛れるような物がね。だからこれをお持ちしました」


430 名前:本当にあった怖い名無し :2012/09/01(土) 02:48:32.42
>>427-428
「庇を貸して母屋を取られる」だね。
個人も国家も気をつけなければならないよね。

432 名前:本当にあった怖い名無し :2012/09/01(土) 10:55:27.99
>>427-428
わかりやすく、かつ後味悪い!
乗っ取り系は本当にモヤッとするなぁ。
乙でした

433 名前:本当にあった怖い名無し :2012/09/01(土) 15:11:24.05
>>427
銀仮面、このスレで初めてみたような気がする。
もの凄くスレタイに相応しい作品なんだけど、
自分は文才が全く無いので書けなかった。

 

世界短編傑作集 4 (創元推理文庫 100-4)
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銀の仮面 (ミステリーの本棚)
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