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828 名前:1/2 :2012/10/28(日) 10:34:05.78
J・L・ボルヘス「マルコ福音書」

1928年、アルゼンチンでの出来事。
医学生の某は従兄(農場主)から、農場に避暑に来るよう勧められて快諾した。
理由は、断るのが面倒だから。
彼はもう33歳だが、一番好きな教科の点が取れず落第を繰り返していた。
弁論の才能があり、お人よしで、特に頭がいいわけでもなく、
フランスに憧れていたがフランス人は軽蔑していた。

農場には従兄の他に管理人一家が住んでいた。
管理人と息子、管理人のタネか疑わしい娘の三人家族である。

ある日従兄が家畜の取引で首都に出掛け、医学生は農場に留まった。
そして雨が降り、川が氾濫して畑も道も水没した。農場は陸の孤島になった。

管理人の掘っ建て小屋で雨漏りがしたので、医学生は一家に母屋の一室を与えた。
大食堂で一緒に食事をするようになったが、話が弾むわけでもない。

彼は母屋中を探し回って聖書を見つけた。
聖書の巻末には管理人一族の来歴が書き付けてあったが、それは1890年代で終っていた。
一族は読み書きを忘れてしまったのだ。


829 名前:2/2 :2012/10/28(日) 10:36:06.78
医学生は食後の暇潰しに、マルコ福音書を読んでやることにした。
すると、何を話しても無関心だった管理人一家が熱心に傾聴している。
聖書が彼らの血の中に潜んでいるのだ、と医学生は驚いた。

子羊のケガを治療してやると、管理人一家は彼を一層敬うようになった。
数日してマルコ福音書を読み終わると、管理人は、よく理解できるようにもう一度読んでくれと言った。

雨はますます酷くなった。
ある夜、管理人の娘がバルタサルの寝室を訪れた。娘は処女だった。
翌朝、管理人が、
「キリストは自らの命を捨てて人類を救ったのか、キリストに釘を打った連中も救われたのか」
と尋ねた。
彼は「もちろんそうだ」と答えた。
昼食のあと、せがまれてマルコ福音書の最後の2、3章を読んでやった。
彼の昼寝は大工仕事の騒音で時々遮られた。
昼寝から覚めると、空が明るくなり、水が引きはじめていた。
管理人一家が石の床にひざまづいて祝福を求めた。
そして、医学生を呪い、唾を吐きかけ、裏庭へ引き立てた。
農具置場の屋根が壊されていた。
十字架を作るために梁を取り払っていたのだ。

無知って罪ですなあ。


830 名前:追加 :2012/10/28(日) 10:41:22.28
医学生は父親の影響で自由思想の持ち主なのに、
キリストの身代わりで十字架にかけられる(ことが暗示される)のが後味悪い。
田舎の年寄りは記憶力が乏しいか日にちの概念が薄れている者が多い。
大抵のガウチョが、自分の生まれた年も自分を生んでくれた者の名前も知らないのだ。
という文もあって後味悪い。

842 名前:本当にあった怖い名無し :2012/10/28(日) 17:01:08.40
誰か宗教に無知な俺に>>828を解説してくれ

843 名前:本当にあった怖い名無し :2012/10/28(日) 17:47:49.08
医大生とキリストを同一視したってことじゃないの

 

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