ムクロバラ(宮部みゆき)

277 名前:1/2 投稿日:2008/02/08(金) 00:10:06
あーなんだっけ。短編小説を思い出した。

気弱そうな青年にDQNが絡んでるのを見て放置できなかったおじさんは仲裁に入る。
しかしふぁびょったDQNはおじさんに刃物を持って襲いかかってきた。
揉み合っているうちに、気づくと刃物はDQNに刺さっていた。
青年や目撃者の証言でおじさんの正当防衛は証明された。
だが周囲の状況は一変した。会社に行けば誰もがよそよそしい。
妻は近所の人から白い目で見られる。子供は学校で虐められる。
生活に疲れた妻は子供を連れて家を出て行った。
おじさんは左遷され仕事も与えられなくなり、自分から辞表を出した。
引き留める者は誰もいなかった。

それからおじさんは壊れてしまった。新聞を読んで殺人事件を見つけると
警察署に行っては「DQNだ、DQNがまた人を殺した!早く捕まえてください!」と訴える。
話を聞いてなだめてやるのは課長の仕事だ。定期的にやってくるおじさんに
遠回りに「DQNはもう死にましたよ。それは無関係の事件です」と教える。
1時間ほど話してるうちにおじさんは落ち着いて帰って行く。
しかし事件を見つけてまたやってくる。


278 名前:2/2 投稿日:2008/02/08(金) 00:11:01
課長も最初は真面目に取り合っていた。警察が気づいていないだけで事件に
関連性があるのではないかと疑った。だが調べてもそんな事実は出てこない。
「かっとなって殺した」「むかついたから」どこにでもあるような衝動的な事件ばかりだ。
おじさんの相手をしてるうちに課長もどんどん疲れていく。
普段は温厚な課長だったが、最近は無能な癖に口ばかり達者な部下が
こともあろうに別事件の関係者とよからぬ仲になっていたのだ。
叱責してもふてくされて返事もしない。上司はお前の責任だと怒鳴るばかり。
課長は疲れていた。

ある日やってきたおじさんを見て、課長はひらめいた。
おじさんはDQNが殺人を繰り返してるという。なら犯人の似顔絵を描かせたらどうだろう?
その似顔絵と犯人の写真を並べてやれば、おじさんも別の事件だと気づくのではないか。
悪戯のようなものだったが、提案を聞いたおじさんは熱心に絵を描き出した。
小一時間後、「完成しました」と言って誇らしげに差し出された絵には課長の顔が描かれていた。
真っ青になって席を立つ課長。おじさんはわけがわからず不安げに眺めている。
息苦しくなって外に出た課長の前に、ふてぶてしい面をした部下が現れた。
お前のせいだお前のせいだお前のせいだ…部下への憎悪が膨らんで制御ができない。
「お父さん!」そんな課長をすんでのところで止めたのは、最近様子が変な父親を心配してやってきた娘だった。
今日はとどまれた。しかし明日もとどまれるだろうか。課長には自信がなかった。


280 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/02/08(金) 00:18:13
宮部みゆきの短編だね。
むくろばらだっけ?DQN犯人の名前が変わってるんだよね。
まとめ方うまいな。また読みたくなっちゃった。

281 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/02/08(金) 00:26:16
じゃDQNは死んでないって事?

285 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/02/08(金) 00:50:17
>>281
DQNは死んだよ。そのDQNの名前がむくろばら。
そのおじさんにはある一定の条件を満たした事件だけ、
犯人の名前が全部「むくろばら」に見えるんだよ。
で、毎回刑事に「またむくろばらが人を殺しましたよー」って言いにくるの。

 

地下街の雨 (集英社文庫)
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