(‘、`*川 フリーターと先生の怪奇夜話、のようです (´・_ゝ・`) /第十三夜『猫とノコギリ』

222 名前:本当にあった怖い名無し :2012/11/13(火) 20:28:22.34
とあるブーン系小説のホラー連作短編のひとつ。

手足が動かなくなる呪いに掛けられた老婆"しぃ"と
それを見かねて世話をしている孫の住む家に、主人公がやって来て、
老婆しぃからその呪いのいきさつを聞くというストーリー。

昔、田畑を荒らしていた野良猫が村人達に捕まり、ノコギリによって残虐な殺され方をする。
四肢切断された死体を見て可哀想と思った少女"ヒート"は、その猫の墓を作ってやる。
しかし十年後、ヒートの産んだ子どもには四肢が無く、猫に祟られたと
噂され、そのふたりは村外れの小屋に隔離されてしまう。

若かった頃のしぃは、隔離されていたその親子を世話していた。
しかし、「夜な夜なノコギリの音を聞く。だんだん手足が動かなくなっていく」
という話をヒートから聞く。四肢のない子どもは逆に活発になってった。

やがてヒートは首を切断する事故にあい、しぃは葬式に行くことになるが、
そこで不気味な子どもを見つける。小さい身体に不釣り合いな
長い女性の手足を生やした姿だった。それはヒートの産んだ、四肢のない筈の子どもだった。
暫らくするとそれは消えたが、耳元で「みつけた」と囁かれる。

続く


223 名前:本当にあった怖い名無し :2012/11/13(火) 20:28:57.46
それ以来、しぃはその不気味な少年に付きまとわれる。鏡を見れば姿が映る。
しぃは、それを猫の亡霊と悟った。ヒートの息子の胴体とヒートの四肢を
くっつけたその少年を、ノコギリのギコギコ音にあわせて「ギコさん」と名付けた。

しぃが歳をとると同時にギコさんも成長していくが、それを見てしぃは確信する。
「ヒートの手足を使い古してしまえば、今度は私の手足が狙われる」

予感通りに、しぃの四肢は一本ずつ動かなくなっていき、ノコギリの音も聞こえ始める。
そうして現在、動ける四肢は、左腕と右脚のみとなった。

同情をした人間が狙われ、四肢を一本一本取られていくことになる。
主人公は、しぃの孫の優しさを思い返しつつ、しぃに尋ねる。
「あなたの手足が全部動かなくなったら、ギコさんはそれからどうするのだろう」
するとしぃは不気味な笑顔を浮かべて一言。

「さあ?」

しぃがもう殆ど「ギコさん」に侵食されていること。
しぃの孫が次の標的になることを示唆してエンド。

その作品の中でも、特に後味が悪い短編だった。
主人公が「何もできないので無視」と逃げ出すのも印象的。