ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その135 » 勇者「魔王倒したし帰るか」(湯葉)

743 名前:本当にあった怖い名無し :2012/11/30(金) 13:52:04.17
VIPで投稿されていたSS 『勇者「魔王倒したし帰るか」』と『僧侶の手記』

魔王を討伐した勇者が祖国に帰って来た。
国王は凱旋した勇者をねぎらい、ぜひ冒険譚を聞かせてくれと彼に願う。
勇者は承諾し、国王や姫を始め、彼の話を聞きにきた聴衆に旅路と死んだ仲間たちの行く末を語り始める。

食糧が尽きたら魔物を喰らって生き延びた。
人と同じような知能を持ち、言葉を話す魔物も屠って喰らってきた。
いつも最前線で戦っていた戦士は強力な回復薬を使いまくり、中毒と副作用で廃人化。
残った理性で「殺してくれ」と懇願してきたので殺した。
戦士を愛していた魔法使いは戦士の末路を見て人格崩壊。
多くの魔物を嬲り殺した後、この世のすべてを恨んで自殺した。
勇者と僧侶は魔王の本拠地まで辿り着くも、側近との戦いで勇者は死亡。
敵陣の真っ只中で僧侶は禁呪レベルの蘇生呪文を発動。
勇者の復活と引き換えに回復魔法を垂れ流す肉塊となってしまう。

勇者は人の為に戦っていた訳ではなく、仲間の為に戦ってきた。
仲間を全て失った勇者は僧侶だった肉塊を喰らい、
仲間であり妻でもあった僧侶の願いを叶える為に魔王を討伐した。
愕然とする国王たちに勇者は「魔王も勇者も勇者の仲間もいない世界を僧侶は願っていた」と語る。

勇者は僧侶の願いを実現する為に世界の支配者となり、人間と魔族の立場は入れ替わった。
時は流れ、「ニンゲンの魔王」となった彼は魔族の勇者に倒された。
自分と同じように悲惨な旅をしてきたであろう魔族の勇者に
「俺は駄目だった。次はお前の番だ」と語り、ニンゲンの魔王は息を引き取った。

『僧侶の手記』は僧侶視点で勇者一行の出陣から魔族の本拠地へ行くまでの話。
魔王討伐の建前があれど、魔族のターゲットと化している勇者一行を恐れた民は、
とばっちりを食らうのを恐れて街や村への滞在を認可しない。
大国へは招かれるが、エゴにまみれた国王の策略に巻かれたり、国同士の争いの火種となる。

世界観は王道RPGのそれだけど、やたらリアリティのある表現や勇者一行の狂いっぷりが後味悪いうえに悲しい。
本編と手記を合わせて読むと、勇者が人の為ではなく仲間の為に戦ってきたことがよくわかり、後味の悪さが更に増す。
そりゃあこんなに人間のエゴを見せつけられたら人間の為に戦えないよなぁ。

 

SS速報VIP傑作集 勇者と魔王篇
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