ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その136 » 南條範夫原作の時代劇漫画

17本当にあった怖い名無し:2012/12/10(月) 02:32:44.77
タイトルど忘れ。
「残酷もの」で有名な時代小説家、南條範夫原作の時代劇漫画が後味悪かった。
チョット長いかも。

ある村に、研ぎ師で生計を立てている男がいた。男は、美しく気立ての良い女を妻にめとった。
しかし、夫婦になってから1ヶ月も経たないうちに村は山賊に襲われ、妻もさらわれてしまう。
なんとか九死に一生を得た男は、妻を助け出すための旅に出る。

とはいえ、手がかりなど無く、山賊がどこに向かったのかも分からなかったのだが。
数日後、偶然、山の中で山賊の一団を見つける。男は山賊の一人にすがりつき、土下座して叫ぶ。
「私は、○×村に住む○○という者です! あなた達がさらった私の妻を返してください!」
「ハァ? 何を言っているんだ、お前は?」「お前の女房なんて知らんぞ」
「嘘だ! お願いですから私の妻を返してください!」
「嘘だっていうんなら、俺たちがさらって来た女たちを見せてやろう……どうだ、お前の女房なんていないだろう」
「だいたい俺たち、○×村になんて行ってねぇぞ」
 人 違 い だった。


18本当にあった怖い名無し:2012/12/10(月) 02:34:21.36
なぜか「面白いヤツだ」と山賊たちに気に入られ、男は山賊のアジトで宴に誘われる。
男の身の上話を聞いた山賊たちは「大したヤツだ」と男を褒める。
「だが、俺たち山賊の女の扱いといったら、そりゃぁ酷いもんだぜ。
 もし取り返せたとしても、散々、嬲り者にされた女を女房にできるのか?」
男は鳥の丸焼きを指差し、
「皆さんは、こうして鳥や獣の肉を食べるでしょう?でも自分の身体が汚れたと思いますか? 思わないでしょう」
とドヤ顔で語る。
おそらく『どんな事をされていても妻は妻』とかそんなニュアンスのことを言いたいのだと思われる。
山賊たちは「頑張れよ」と男に食糧などを持たせて送り出してくれた。
話の本筋には関係ないが、男が山賊を非難したり、山賊が反省するという描写はないw 

男は行く先々で、研ぎ師の仕事をして金を稼ぎ、資金にしていた。
だが、ある村で盗人の疑いをかけられ、袋叩きにされた挙句、両手の爪を全て剥がされる。
さらに、研ぎ師の道具まで取り上げられてしまい、男は物乞いになって旅を続けることになった。

妻を探す旅を始めて、八年以上もの時が経った頃。
心身ともにボロボロになった男は、山中で倒れてしまう……

……次に男が目を覚ましたのは、立派なお城の一室だった。
「物乞いの自分が、なぜこんな不相応な部屋に?」
と思っていると、そこにやってきたのは、なんとさらわれた男の妻。
「おお、やっと会えた!」と喜ぶ男だったが、妻はなんとも複雑な表情をしている。
「まさか、あなたが生きていたなんて……!」


19 本当にあった怖い名無し:2012/12/10(月) 02:35:14.90
妻が語るところによれば、山賊にさらわれてから二年ほど、さんざん連れまわされた。
たまたま立ち寄ったこの地で、山賊を討伐にきた武士たちに助け出された。
殿様にその美貌を気に入られ、側室に召抱えられたという。
そして今日、殿の狩りに付き添って山に行ったところ偶然、行き倒れているかつての夫を発見したのであった。

「うむ。そうか。女房が世話になったのだから、殿様に礼を言わなければな」
「何を言うのです。私は殿様の側室ですよ?」
「はは、私はそんなことは気にしないよ。お前に会うため、何年も旅を続けてきたんだ。
 例えお前が、側室だろうと下働きの下女になっていようと、お前に対する想いは変わらない」
まったく空気の読めていない男に妻は、もう既に男に対しての愛情はない。今は殿様だけを愛している、と告げる。
今回、助けたのは、かつての夫が死に掛けているのを見捨てるのは忍びなかったからだ。
ここは本来ならば、物乞いが入れるような部屋ではない。体調が回復したら出て行って欲しい、とも。

「私は何年も、お前のことを考えていたのに。お前は私のことなんて忘れていたというのか?」
「さらわれたばかりの頃はいつも、あなたの元に戻ることばかりを考えては泣いていました。でも……」
山賊の元での暮らしは過酷なものだった。昼夜を問わず四六時中、犯された。
「夫が恋しい」と泣いてばかりいる女、反抗的な女は簡単に殺され捨てられた。面白半分にジワジワと嬲り殺される女もいた。
妻は、山賊たちに献身的に尽くした(性的な意味で)それも全て、生き延びるため。
どんな目に遭っても生きてさえいれば、いつか夫の元に戻ることができる。
たとえ、傷物にされた私でも夫なら受け入れてくれるだろう……


20 本当にあった怖い名無し:2012/12/10(月) 02:36:49.08
無事に救出され、殿様に側室になってほしい、と言われたときも「夫がいるので」と当初は断った。
しかし、わざわざ故郷に使いを出して調べてもらうと、その夫は行方が知れないという。
「生きているのか死んでいるのか分からない。生きていたとしても、他の女と夫婦になっているかも」
助け出された恩もあり、側室になることを受け入れた。
何年も暮らしていくうちに、心から殿を愛するようになった。そして
「あなたは私を責めますが、あなたこそなぜ辛抱強く故郷の村で私を待っていてくれなかったのですか」
と言って、元妻は部屋を出て行く。

男はなり振りかまわず「妻を返してほしい」と殿に直訴する。
「無礼者!」と怒る側近をなだめつつ、殿は
「お前の気持ちはよく分かる。妻を想う気持ちには感服した。しかし、わしもあの女を心から大事に思っておる。
 それに『返してほしい』というが、お前たちが夫婦だったのは、ほんのひと月足らずと聞く。
 わし達はもう何年も一緒に過ごしておるのだ。それをお前が『返せ』というのはおかしな話であろう」と言う。
「そうだな。代わりに他の側室をお前にくれてやろう。それで手を打たんか?」
もちろん、頷く男ではない。
「うか妻を返してくださいどうか妻を返してくださいどうか妻を返してくださいどうか妻を返してく」
狂気すらも感じさせてきた男にウンザリしてきた殿は、1つ提案を出す。
「次のいくさで、手柄を立てることができたら女をくれてやろう。それまではこの城で暮らすのもかまわない」と。


21 本当にあった怖い名無し:2012/12/10(月) 02:37:45.23
その言葉に一縷の望みを託した男は、庭の片隅で槍の稽古を始めた。
とはいえ武芸の心得などあるはずもなく、拾ってきた棒っきれを奇声を上げながら、
ヘッピリ腰で振り回しているだけで、城中の笑い者となっていた。
そんな男が見ている前でも、殿と元妻は遠慮なくイチャつき、
男は嫉妬で気が狂いそうになるのであった、というか本当に狂った。
常々「いくさはまだか、いくさはまだか、いくさはまだか」とブツブツ呟き、
遭う人遭う人を捕まえ「いつ始まるのですか!いくさは!」と問い詰めるようになった。

やがて、本当にいくさが始まった。
男は果敢に突っ込み、切られ、深手を負った。
「くっ、手柄を、手柄を……」
倒れた先に、死にかけた雑兵がいた。男は力を振り絞り、その首を斬り落とした。
ほうほうのていで自陣に戻り、殿に向かって生首を掲げると、力尽きて死んだ。
ちなみに、その首は敵兵ではなく、味方の兵のものだった。

いくさは勝利した。
城の帰ると、殿は側室(男の元妻)に「あの男が死んだ」と伝えた。
「もう、あの人のことは話さないで下さい」と言って涙を流した。
おしまい。


22 本当にあった怖い名無し:2012/12/10(月) 02:43:39.85
なんかもう喜劇の領域だな
途中から「はいはい好きにしなよw」みたいな感じで笑ってしまった

23 本当にあった怖い名無し:2012/12/10(月) 03:58:21.34
後味悪いというか良い悪いを別にして諦めが悪い男の話ですね

手柄をたててしまった場合の顛末を見てみたいな


24 本当にあった怖い名無し:2012/12/10(月) 11:07:13.27
素人の狂人が手柄なんか立てられないでしょう。
元気いっぱいの味方を殺しまくったとかじゃなくて良かったくらいなのでは・・・

夢と理想だけを追いかけてると、
最初は世間もその一途さを賞賛してくれなくもなかったけど、
段々、現実社会と隔絶しはじめて自滅する・・・って教訓なんかなあ


25 本当にあった怖い名無し:2012/12/10(月) 15:22:27.85
普通の話だったら、旅の果てに妻を見つけ、ハッピーエンドだろうね。
でも現実はこんなもんか。っていうか、妻と再会できただけでもまだ幸せかな。
いや、不幸か。

一番後味悪いのは、村で待ち続けていれば妻が帰って来たかもしれないってことかな。


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...