世界一親切な男(ヘンリー・スレッサー)
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233:1/2:2012/12/18(火) 12:57:02.79
- ヘンリー・スレッサー「世界一親切な男」
初老のウィルフレッドは31歳の妻を大層可愛がっていた。
妻は、乗っていたヨットが高速モーターボートと至近距離ですれ違って転覆して死んだ。
モーターボートに乗っていた四人の青年は無罪になった。一年後、青年Aはアルコール依存性で婚約者に捨てられる寸前だった。
このままでは善良な婚約者に絡め取られて退屈な灰色の中産階級まっしぐら!
と危ぶんだウィルフレッドは、親 切 心 か ら 高級コニャックを送りつける。
次には1955年産のシャトー・ムートン・ロートシルトを1ケース。グレンリヴェット。シャトー・シュヴァル・ブラン1ケース。
Aは安宿を転々として病死した。青年Bはサングラスメーカーの若社長でイケメンリア充で秘書あがりの美しい妻とラブラブだった。
25歳で身を固めるのは早すぎる、世の中にはもっと美しい女がいるのに。
と哀れんだウィルフレッドは、Bの会社に美女を送り込んだ。
まずは秘書、次はサングラスのモデル、そして下品で色っぽい巨乳。
侮辱された妻はBを撃った。
Bは背骨と腎臓を撃ち抜かれ、寝たきりになった。
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234:2/2:2012/12/18(火) 12:58:45.11
- 青年Cは賭博狂で、ささやかな財産どころか信用までなくした所だった。
ウィルフレッドは匿名で不定期に、少額の仕送りを続けた。
幸運に感謝したCは職安に通い、手当たり次第に面接を受け始めた。
ウィルフレッドは仕送りを増やした。
Cはやくざが胴元の賭場に通いつめ、あっという間に借金(賭場の信用貸し)を増やした。
ウィルフレッドは賭博運を使い果たしたCへの仕送りをやめた。
Cの死因は心臓麻痺。誰だって心臓が止まって死ぬものだ。
誰が心臓麻痺に追い込んだのか、心臓麻痺に追い込まれるまでどんな責め苦を受けたのかは不明。ウィルフレッドは保険外交員に転職した青年Dと向かい合った。
「何か困っている事はないかね、家内は事故死だったのに
裁判で罵詈雑言を浴びせてすまなかった。他の三人のように償わせてくれんかね」
Dはウィルフレッドをなじり、死ぬまで長いこと殴り続けた。Dは自首して、殺す気はなかった、かっとなって我を忘れてしまった、と供述した。
口論になった父親を殴った事を反省して家を離れ、
西部まで流れて保険外交員になった、とも供述した。
「誰だって欠点の一つや二つありますからね」
と警部補は警視に語った。
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235 :本当にあった怖い名無し:2012/12/18(火) 14:43:21.78
- >>234
正に後味悪い話。
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237 :本当にあった怖い名無し:2012/12/18(火) 16:56:00.13
- >>234
最後がよくわからない
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238 :本当にあった怖い名無し:2012/12/18(火) 17:38:36.12
- それぞれの欠点を研究の上煽ったって事じゃない?
Dの欠点はかっとなった時の暴力癖で
最後だったのは自分が殺される覚悟だったから
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239 :本当にあった怖い名無し:2012/12/18(火) 17:49:36.14
- あー、あとなんでDがウィルフレッドをなじったか、は
計画的にABCを陥れたのを「他の三人のように~」の台詞で知ったから
悪意と計画性が伝わった