ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その136 » 秘封倶楽部とダーウィンの悪魔(えぬじぃ)

6691/4:2013/01/07(月) 03:38:37.33
こちらも東方ネタですが
東方projectの二次小説「秘封倶楽部とダーウィンの悪魔」より

主人公とその相棒は、近未来で首都となった京都に住む大学生。
二人きりでオカルトサークルを結成し、日夜違法スレスレの事にまで首を突っ込んでいる。

高度に文明が発達したこの世界は、「偽物」に囲まれている。
例えば、人々が口にするのは合成食品。
これは合成であるが朱鷺の肉や、高級中華料理を安価で食べる事などを可能にした。
他にも電車の車窓から見える景色はバーチャルであるなど、偽物が至る所で溢れているのだ。
相棒は、偽物に囲まれたこの生活が気に入らない。
人工素材のジャングルに埋もれて、息が詰まりそう。
そう評するのだった。


6702/4:2013/01/07(月) 03:39:47.90
大学の長期休暇に、二人は「幻想郷」へのロングステイを計画する。
幻想郷とは、日本のどこかにあるとされる、結界で隔絶された、只人には決して辿り着けない場所。
そこは明治~昭和の日本の姿を保ち、神や人、妖怪が共に暮らす楽園である。
一般には都市伝説やオカルト好きの噂の類である幻想郷だが、二人はこの幻想郷が実在のものであると知っていた。
実は主人公はある能力を持っていて、以前この能力を使用し、幻想郷へ渡った事があるのだ。
今回のロングステイも、主人公のその能力を以て二人で幻想郷へ渡ろうというものである。

671 3/4:2013/01/07(月) 03:40:54.96
こうして二人は、幻想郷への渡航に成功する。
幻想郷は「本物」に溢れていた。
初めて食べる、天然食材で作った料理。初めて会う妖怪、初めての体験。
本物に囲まれて、相棒の顔はイキイキと輝いていた。
日銭を稼ぐためにアルバイトをしながら、相棒はここに移住するつもりだと告げる。
主人公も電気や水道のある生活より、相棒と共にいる事を選ぶ。

しかし移住を決めた次の日、相棒は体調不良を訴えた。
容態はすぐに悪化し、相棒は体を起こす事も出来なくなってしまった。
すぐに医者が呼ばれたが、医者も見た事がない病気だという。
 日増しに弱っていく相棒。そうこうしているうちに、主人公にも相棒と同じ症状が出始めていた。
 医者が再びやって来た。病気とその原因が判明したという。
二人の病気はビタミン欠乏症、つまり栄養失調。二人が幻想郷に来ておよそ一ヶ月。
三食偏り無くきちんと食べていたのに、なぜ栄養失調になどなるのか。


672 4/4:2013/01/07(月) 03:58:31.89
医者は語る。既知のビタミンなら、一ヶ月欠かした程度では欠乏症にはならない。
二人に足りていなかったのは、未知のビタミン。
相棒の血液を調べた結果、
相棒(と主人公)は既存のビタミン栄養学に当てはまらない人間であるという。
通常の人間であれば摂取しなくていい未知のビタミンを、取り入れなくては生きていけない人間だと。
今まで何を食べてきたのかと医者は問う。
主人公は思い至った。
あちらの世界で常に口にしていたモノ──合成食品。
あれには一体、何が入っていたのだろう?
医者によれば、そのビタミンを摂取するのが病気を治す唯一の方法である。
幻想郷にそのビタミンは存在しない。
かくして二人のロングステイは終わった。

元の世界に戻ると、相棒はすぐに元気になった。
合成食品を食べながら、相棒は語る。
自分達は技術文明の中でしか生きられないホモ・テクニコであると。
合成食品を作れる文明が崩壊したら、人類はどうなるのかと。


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