花の名前(柴門ふみ)
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258:本当にあった怖い名無し:2013/06/10(月) 03:01:36.74
- 文芸誌で見た、向田邦子原作・柴門ふみの漫画。脳内補完多め。
主人公は中年の人妻。
無口な夫に尽くし、夫が今あるのは自分の内助の功の、
もっと言えば無趣味でぼんやりした夫を教え導いた自分のおかげと内心誇りに思っている。ある日、だらしない中年女が訪れた。
水商売のはしくれと一目でわかる、ある種のだらしなさが
男の目には魅力にうつるのだろうと思わせる女。
女は主人公と片付いた座敷と手入れされた庭をじろじろ見て言った。
「初めましてぇ、○○さんの奥様ですわよね?あたしつわ子っていいます、小料理屋をやってます」
「御主人には贔屓にしていただいて…ふふん。御主人のおっしゃる通りの賢夫人ですわねぇ」
「あたしの名前ですけどねぇ、お客さんみんな『お袋さんのつわりが酷かったんだろ』なんて言うんですよ」
「御主人だけですよ、ツワブキの花が由来だって気づいた方」
「うちの女房は物知り博士だから、なんて笑ってらしたんですよ」
女は勝手なことを喋り散らして帰った。主人公は、夫と女が長いこと不倫関係にあったことをさとった。
帰宅した夫に、つわ子が来た事をなるべく静かに告げた。
「花の名前、それがどうした。女の名前、それがどうした」ぼんやりした夫の手綱を完全に握っている、と思っていた主人公は項垂れた。終。
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259:本当にあった怖い名無し:2013/06/10(月) 07:58:55.17
- >>258
原作しか読んだことがない上にかなりウロだけど、原作は後半がだいぶ違ってた記憶あり設定は同じだけど、生け花をやっていたか何かで花に詳しく、
常に花についての会話も夫としていた主人公は
夫の浮気相手の女のつわ子という名前を聞いて、
「きっと、私の話した石蕗の花の名前の影響もあったに違いない」と、
密かに夫に及ぼしている自分の力のようなものに慰めを見いだして、
「夫は言いましたでしょう、君の名は石蕗からとったのかと…」と、
相手の女に尋ねるが、女は
「いいえ、そんなことは一言も。君の母親はよっぽど悪阻が酷かったんだろと言われました。
奥様は何でもご存知なんですってね。ご主人も、うちの博士なんておっしゃってますよ。
それに比べて私は無学で~」
と言う女の話で、夫が自分を、知識をひけらかす鬱陶しい女と思っていること、
自負していた賢夫人としての自分は、夫にとっては魅力も評価もなかったことを悟る夫につわ子のことを切り出すも、夫の背中からは
「女の名前、花の名前、それがどうした」という
冷たい拒絶を読み取るのであったみたいな感じだったと思う
漫画版では変えられていたのかなどっちかと言えば、花の名前と女の名前についてのエピソードで、妻のプライドがぽろぽろと崩れ落ちて、
妻の見ていた夫像、夫婦像も崩れていく原作版の方が好きだ