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グレアム・グリーン「廃物破壊者」1954年

場末の駐車場をたまり場にしている不良少年(と言うほどでもないが)のグループ、最年少は9歳。
駐車場の横には傾いだ家が一軒だけ残っていて(空襲で近隣の家は吹き飛んだ)、
元大工のみすぼらしい爺さんが一人暮らし。
爆風で傾いだ家はつっかい棒で支えられていた。

ある日少年たちは爺さんが二日ほど留守にすることを知り、じゃあ家を破壊してやろう!と決めた。
メンバーの一人が何かの拍子に爺さんの家に上がらせてもらって、
「美しいんだ、螺旋階段があって…200年も前に作られたんだ」
と、「美しい」などという上品な言葉を使ったのがメンバーには気に入らない。
この計画を、バスの車掌にばれずにどこまで無賃乗車できるかやってみよう!の遊びの代わりに
ごり押ししたのは、爺さんの家に上がらせてもらった当のメンバーだった。

少年たちは工具を手に集まり、家中を破壊した。
壁の漆喰を剥がし、床を抜き、引き出しはぶちまけ、皿は割った。
マットレスを裂いたら爺さんのへそくりの紙幣が見つかったので、
「俺たちは泥棒じゃない」からと燃やす。

翌日も続けたが、爺さんが予定より早く戻ってきた。


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メンバーの一人が近くで見かけて、知らせるために走ってきたのだ。
少年たちは、爺さんを庭の屋外便所に閉じ込めた。
(うちのチビがどうしても我慢できなくて…そしたら出れなくなっちゃったんです。
便所に嵌まっちゃったんです、助けてくださいごめんなさい)
一応毛布と食事(バターを塗ったパンケーキとソーセージロール)を与えたが、爺さんはリウマチ持ち。
一晩中工具の音を聞かされて、気が気じゃない。

少年たちは、家を支えるつっかい棒と駐車場のトラックをロープで繋いでおいた。
翌朝、運転手がトラックに乗り込む。発車と同時に壁だけ残った家が崩れた。
運転手は便所から聞こえる哀れっぽい声にやっと気づき、爺さんを助け出してやった。
呆然とした爺さんを見て、運転手は笑い転げた。
「ごめんよ爺さん、あんたに恨みはないけど笑いが止まらないんだ」
「家が一瞬で消えちまうなんて、すごく滑稽だもの」終

 

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