神さまのめしあがりもの(グリム童話)

655神様の召し上がりもの1/2:2013/06/26(水) 18:05:12.23
グリム童話だったかな?
タイトルは「神様の召し上がりもの」

昔、ある姉妹がいた。
姉は平凡な容姿、妹は美人。
妹は誰からも愛される愛嬌のある娘で、姉の事も慕っている。
姉はあらゆる面で自分より勝る妹に引け目を感じて、やや卑屈な性格になっていた。

やがて姉妹は成長して結婚した。
姉は親に勧められて中流家庭の平凡な男と。
妹は親の反対を押し切って貧しい職人と恋愛結婚。

生活の心配はないが、不幸ではない代わりに、
幸福とも言い切れない平凡極まりない生活を送る姉。
家計は苦しいが、たくさんの子宝に恵まれ夫とも深く愛し合い支え合って暮らす妹。
ここでも姉は妹に対して微かな妬みを感じずにはいられなかった。
(姉には子供が出来なかったのも妬みの一因になっている)


656神様の召し上がりもの2/2:2013/06/26(水) 18:06:19.52
そんなある日、妹の夫が事故死。
働き手を失い、たくさんの子供を抱えた妹は瞬く間に貧乏のどん底に。

しばらく経って、やつれて見る影もなくなった妹が姉を訪ねてきた。
生活が苦しく子供たちに食べさせるパンすら手に入らない、
ほんの少しでいいからお金を恵んで欲しい、と。
姉は一瞬同情したが、今まで散々妹の幸福を見せつけられてきた事が頭をよぎり
(もちろん妹にそんなつもりなど全く無かったが)
「うちも余裕が無い」と妹を追い返してしまう。

その夜、姉が夕食の為にパンを切ると、パンの切り口から真っ赤な血が溢れ出た。
姉は驚き、そして自分の仕打ちの恐ろしさに気付いて妹の家に駆けつける。

しかし手遅れだった。
子供たちは皆寝床の中で冷たくなっていて、妹は末っ子の赤ん坊を抱いて蹲っていた。
私が悪かった、せめてあなたと赤ん坊だけでも助けたいと涙ながらに訴える姉。
妹は虚ろに笑い、「私達は“神様の召し上がりもの”を食べたから、もうお金はいりません」
と言って息を引き取る。
彼女の腕の中の赤ん坊も既に冷たくなっていた。
“神様の召し上がりもの”とは“神様の所へ行ける食べ物”即ち“毒”の事だった。

姉は根っからの意地悪ではなく、積もり積もった不満からつい冷たい態度を取ってしまっただけ。
パンから血が云々の後は、自分のした事を激しく後悔してる。
妹はなまじそれまでが幸福そうだっただけに、ラストが哀れ過ぎる。
何よりも妹の子供たちが不憫でならない。


662 本当にあった怖い名無し:2013/06/26(水) 19:49:21.35
キリスト教の場合、自殺したら神様のとこには行けないはずなんだが……

 

完訳 グリム童話集〈5〉(岩波文庫)
完訳 グリム童話集〈5〉(岩波文庫)