耳(阿刀田高)

2511/2:2013/09/23(月) 14:32:21.93
阿刀田高の短編

孤児院育ちでのちに篤志家A氏の養女になった女性、春子が
孤児院の女院長に宛てた手紙を時系列で並べた書簡体小説。

春子は出自不明の捨て子で、養女になる前の町村春子という名前は町長から与えられたもの。
孤児院のあるこの町と隣村の境目で春に捨てられた赤ん坊だから、と思っている。
春子はA氏の援助で特例として高校まで行かせてもらい、卒業後A氏の養女になった。
(昔は公営施設の孤児は、中学の卒業式の日に施設を出なきゃならなかったと聞いたことがある)

A氏は人を介して春子を援助していて、孤児院に顔を出した事はない。
春子はあしながおじさんのA氏に会う日を心待ちにしていた。


2522/2:2013/09/23(月) 14:33:39.38
という過去を懐かしむ数通の手紙のあとで、
春子はA氏にひどい性的虐待を受けている事を手紙に書き、院長に助けを求める。
A氏は年齢不詳の醜い変態で、耳が悪魔のように尖っている。
春子はA氏に犯されるたびに、若さを吸い取られるような気がしてならない。

手紙を出す事を禁じられた春子は、語頭や語尾を繋げると
「たすけてください」
「このいえにかんきんされています」
「まちむらはるこけいさつをよんで」
などのメッセージになる文を書いた紙を隙を見て塀の外に投げた。

十数年あるいは数十年後、A氏は死に春子が全財産を相続した。
A氏は春子が思うほど残酷ではなかったらしい。
最後の手紙で春子は、代替わりをした孤児院の新院長に素直な美少年を所望した。
“私は醜くなりました…私の耳も少し尖ってきたようです"


253 本当にあった怖い名無し:2013/09/23(月) 14:38:24.58
阿刀田高「耳」
作中にも出てくるあしながおじさんのパロディみたいな

254 本当にあった怖い名無し:2013/09/23(月) 15:01:31.72
春子はあしながおばさんになってしまうのか

 

恐怖同盟 (新潮文庫)
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