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323本当にあった怖い名無し:2013/09/25(水) 12:50:00.86
百田尚樹「モンスター」

美川美子(仮)は、老若男女誰もが溜息をつくような絶世の美女。
とある田舎町で一流シェフを雇い、小さなビストロ店を経営している。
絶世の美女が経営する一流ビストロということで、店は連日の大賑わい。
しかし美子は美人なのも鼻にかけない、非常に聡明で謙虚な性格であり、
周りからは好かれていた。

そんな彼女は、実は整形を重ねるに重ねた人造美女。
生まれ育った町で自分の店をオープンさせたのだが、それを知るのはシェフただ一人。
美子はかつては名を毒山毒子(仮)といい、親ですら目を背けたくなるほどの
人間離れした醜い容姿の持ち主であった。
物心ついた頃より周囲からバケモノと呼ばれ、友人もおらず
学校では凄惨ないじめを受け続け、暗い毎日を過ごしていた。

そんな彼女にも、1つだけ明るい淡い思い出があった。
それは幼稚園の頃の記憶。
毒子は通う同じクラスの男の子と一緒に街中で迷子になってしまった。
自分も不安でたまらないだろうに、泣きじゃくる毒子を、
発見されるまで励まし続けてくれた勇敢な男の子。
しかしその後すぐ、親の転勤で別の町へ引っ越してしまった彼。
迷子になった時から、彼は毒子のナイトであり、恋心を抱いたはじめての相手だった。
10年以上経ち、高校生になっても毒子は彼の名前を忘れたことはなく、
ただ彼を想い続けていた。

そんな彼と同姓同名の男子生徒、池面太郎(仮)が同じクラスにいた。
太郎は学年1の美少年で成績もトップクラス、誰にも相手にされない毒子にも
分け隔てなく接してくれる心優しい非の打ち所がない少年だった。
毒子は太郎からさりげなく聞き出してみると、
幼少時は毒子の家の近所に住んでおり、そして同じ幼稚園に通っていたことが判明。
もしかして、太郎はあの時の太郎なのでは―?
毒子は思うが、よくある名前だし、実際に彼だとしても10数年前の話を覚えているはずがない。
自分だけの綺麗な思い出としてしまっておこう、と心に決める。


324本当にあった怖い名無し:2013/09/25(水) 12:51:28.72
ところが事態は一変する。
ある日、初恋について作文を書くという学校の課題が出た。
作文は文集になり、学年全員へ配られのだが、太郎の文章を見て毒子は驚愕した。
太郎は、幼稚園の頃一緒に迷子になったクラスの女の子をずっと想っている、
あの時を忘れたことはない、彼女は今どうしているのだろう
…という内容の作文を書いていたからだ。
間違いない、あの時の彼は太郎その人だったのだ。

毒子は名乗り出るか否か、苦悩した。
だが名乗り出たところで、結果は分かっている。
あだ名がバケモノの醜い女が名乗り出ても、
太郎は困惑し、周囲は身の程知らずと嘲笑するに決まっている。
そんなことが出来るわけがない…と、悩んでいるうちに、
別クラスの女生徒が作中の女の子だと名乗り出て大騒ぎに。
女生徒は嘘をついている。
学年1イケメンで秀才の太郎と付き合いたいが為に嘘をついている。
だがそれを知るのは、女生徒と毒子2人だけ、
しかも女生徒は太郎に釣り合う美少女でもあった。

もう毒子が名乗り出る隙など全くなかった。
太郎と女生徒は、幼い頃の素敵な思い出から劇的に再会した
美男美女カップル!と学校中で話題になってしまい
2人が並んで歩いているのを見るたび、毒子は思った。
もし私が人並みの容姿なら、太郎の横にいるのは私だったかもしれないのだ!
毒子の嫉妬と憎悪の感情がドクドク湧き出し、ある日ふと思った。
もし私の醜い顔が太郎の目に入らなければ、太郎は私と付き合ってくれるかもしれない。
太郎の目が見えなくなれば、私でも…。
毒子は太郎を思うあまり、とんでもないことを思いつく。


325 本当にあった怖い名無し:2013/09/25(水) 12:52:19.79
太郎は勿論リア充グループに所属しているのだが、
そのグループはリア充らしく放課後に繁華街で酒盛りをしたりして遊んでいた。
ある日、太郎は情けで自分たちと遊ばないかと、毒子に声をかけた。
リア充メンバーは嫌がるが、リーダー格の太郎が言うなら…
と毒子はリア充の集まりに参加することになる。
これを利用しない手はなかった。

リア充達はいつものように酒盛りをはじめ、
毒子は家(家は酒屋か何かだった)から持ってきた
飲用すると失明の恐れがあるメチルアルコール入りドリンクを、
こっそり太郎に飲ませようとしたが、太郎とリア充共はドリンクの異様な味に気付き、
それを作ったのは勿論毒子だとバレてその場は大騒ぎに。
警察沙汰になるが証拠不十分だ、ということで毒子にはお咎めなしだったが
毒子は益々孤立し更にひどいいじめを受けるようになり、
当然ながら太郎まで毒子を避けるようになった。

田舎ネットワークでとばっちりを受けた家族からも疎まれ、
高校を卒業した毒子は逃げるように都会へ出る。


326 本当にあった怖い名無し:2013/09/25(水) 12:53:16.80
家族から勘当されたも同然の毒子は、名前を美山美子と変えた。
都会へ出て働き出しても、その醜い容姿のせいで職場でもいじめを受けた。
生きる夢も希望もなく、死のうかと思っていた美子だったが、
ふと手に取った雑誌の整形外科の広告を見て
この醜さが少しでも緩和されるなら…と、プチ整形で目を二重にしてみた。
これが転機だった。

たったそれだけで、美子の目はぱっちりとして印象がガラッと変わったではないか。
美子は、美しい二重まぶたを手に入れたことが嬉しくてたまらなかった。
それでも目を二重にしただけの、まだまだ化け物レベルなので、
周りから貶されなくなるなんてことは全くなかったが
自分の顔を美しくするためなら何でも出来た。
そして何より美しくなれば、太郎に見合う女になれるのだ。
美子は太郎のことをどうしても忘れられずにいた。

必死で働き、金が足りなければ風俗で稼いだ。
最初は躊躇いこそあったが、その収入額は魅力的だった。
醜い美子にはハードなSMクラブしか仕事はなかったが、
美しくなるために、金のためにどんなプレイでもした。

金を貯めては整形を繰り返し、気付けば数年後、
美子は完璧な美女になり、そして高級コールガールとなっていた。
美容外科医や、仕事を斡旋してくれた風俗の案内屋以外は、
誰も美子の醜い時代を知るものはいない。
そんな美子によってくる男は数知れず、さまざまな男と付き合ったりするが、
やはり美子には太郎しかいなかった。

だがそれまでの不摂生がたたり、脳溢血かなんかで倒れてしまう。
美子の身体は衰弱しきっていたのだ。
医者からも風俗の仕事はやめたほうがいいと、ストップがかかる。
美子は思った。どうせ長く生きられないなら、太郎に会いたいと。


327 本当にあった怖い名無し:2013/09/25(水) 12:54:33.01
金だけはたくさんあったので、美子は素性を隠し、地元に帰ってビストロ店を開いた。
美子が町を出てから20年以上経過していたが、
美子を毒子とは知らない昔の同級生も店にやってきた。
町の人の話では家族も当に町を出ており、毒子は事故死したという話になっていた。
美子は驚くが、平静を装って店を営む。
自分をいじめた女には、わざと皿洗いとして雇ってクビにしたり
男にはその美貌を利用して誑かしたりして軽く復讐もしたりしていたが、
そんなことは目的ではなかった。

店を開いてちょうど1年後、とうとう待ち人が現れた。
企業に就職して海外赴任していた太郎が戻ってきたのだ。
全てはこのためだった。店は太郎に再会するために開いたのだった。
それなりに老けていたが、相変わらずイケメンの太郎。
美子は太郎に接近し、太郎が高校の後輩と結婚して家庭を持っているということも判明するが
美子の美貌と巧みな駆け引きに撃たれた太郎は、彼女に夢中になった。
ただの不倫相手かもしれないが、太郎に愛されていると感じた美子はとても幸せだった。

ある日、いつものようにビストロ2階の美子の控え室を太郎は尋ねた。
そしてとうとう、妻と別れるから一緒になってくれ、
お前のためならなんでもすると太郎は思いを伝える。
美子は驚くが、その瞬間突然倒れ伏してしまう。脳溢血の発作が出たのだ。
虫の息の美子を抱きかかえる太郎へ、とうとう彼女は真実を告げた。
「私、あなたに隠していたことがあるの。私の本当の名前は、毒山毒子」
「何を言ってるんだ、毒子は昔死んだはず…」
「あれは嘘なの、私は正真正銘、あなたの同級生の毒子。あなたに会うために、戻ってきたの」
太郎は俯いて黙っている。美子は太郎の腕の中で幸せだった。


328 本当にあった怖い名無し:2013/09/25(水) 12:55:49.21
美子の死体を発見したのは、ビストロ店のバイトだった。
営業時間になっても姿を見せない美子を探すと、美子は控え室で息絶えていた。
誰もいない控え室で1人、床に倒れたままだった。
警察が調べると、死因は脳溢血で間違いない。
発作を起こしたのにもかかわらず、誰にも気付かれないで処置もされないまま、
バイトが見つけたときは既に手遅れだった。

バイトは美しいオーナーの死を嘆いた。オーナーは1人寂しく死んでいったのだ。
確かに客の男が出入りしたようだが、その当時居合わせたはずがない。
居合わせたら救急車を呼ぶはずだ、もし訪問者がいればオーナーは助かっていたのだ。
バイトは思った。もし訪問者がいたら、その訪問者は最低最悪の男に違いない、と。


329 本当にあった怖い名無し:2013/09/25(水) 15:09:41.24
美子=毒子と知って太郎は逃げたってことかな?

330 本当にあった怖い名無し:2013/09/25(水) 16:15:04.72
太郎の方から見れば、親切で誘ったのに毒物飲まされそうになった相手だからな。
「ずっと僕を想っていてくれたんだねありがとう」とはならんよなぁ……

332 本当にあった怖い名無し:2013/09/25(水) 16:17:33.12
ブス山ブス子と名乗るんじゃなくて
幼稚園の時の迷子の子だと伝えればまた違ったかもしれないのにな

333 本当にあった怖い名無し:2013/09/25(水) 17:57:42.43
容姿にコンプレックスがある女の子が正しいかどうかは別にして努力して
最後には生涯をかけた初恋の人に思いを告げられてその人の腕の中で死んでいく

と考えちゃうと切ないいい話になっちゃうなあ


336 本当にあった怖い名無し:2013/09/25(水) 20:10:56.40
これ高岡早希主演で映画になったよね、特殊メイクが話題になってた。
そりゃ毒子は満足しながら死んでったでしょう
太郎はパッと見最低だが、毒盛られてた訳だから何とも言えん…

 

モンスター (幻冬舎文庫)
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