ぼくたべないよ(さねとうあきら)
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625:本当にあった怖い名無し:2013/10/05(土) 11:38:34.02
- 某所で鬱話と聞いて図書館で借りてきた絵本「ぼくたべないよ」から。
ある山の上にライオンがいた。
そのライオンは動物達から嫌われており(理由があったんだけど失念)、
彼の所にはネズミ一匹とて近寄らない状況だった。ある時ライオンは病気に罹って苦しむが、今更誰かが来る訳でも無い。
ライオンは悲しくて仕方なかったが、ある日、扉の前に苺のパイが置いてあるのを発見する。
腹を空かせていたライオンは大喜びでパイを平らげる。
次の日も、その次の日も、ライオンが元気を取り戻すまでそのパイは毎日置かれていた。お蔭ですっかり元気になったライオンは「苺のパイの御礼をしたい」と考えるが、
肝心の贈り主が分からなかった。
考えたライオンは木苺が沢山生っている場所へ行った。
苺のパイを贈ってくれた動物がいるかもしれないから。
そこで出会ったのは、のんびり苺摘みをしているヤギのおばあさんだった。
おばあさんと話をしていたライオンは名案を思い付く。
そうだ、このヤギをシチューにして、御礼に出そう!
ライオンはおばあさんの背後から襲い掛かり、一撃で殴り殺してしまった。
おばあさんを引きずって家まで帰ると、早速シチューにし、扉にこんな貼り紙をした。『苺のパイをくれた方。御礼がしたいので是非遊びに来てください。食べたりはしません』
ライオンはこれで準備は出来たと大喜びで恩人の訪問を待った。
しかし、いくら待てども恩人は現れない。
何日も何日も、お腹を空かせていても決してシチューに手を出さず、
衰弱していっても恩人の訪問を待ち続けた。ある日、骨と皮ばかりになったライオンの死体を、偶々遊びにきた動物が見つける。
不思議な事に、ヤギのシチューがあったにも関わらずそれには一口も手をつけていなかったという。
嫌われ者のライオンが死んで清々する筈なのに、何故か動物達の心には妙なわだかまりが残りましたとさ。おわり
ライオン……どうしてヤギのおばあさんの可能性も考えなかったんや…。