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2741/3:2013/11/26(火) 03:44:57.23
ジョン・コリア「ささやかな記念品」

東部の海岸から高地の村に越してきた、感じのいい若夫婦。
妻は村の景色が気に入ったようで、毎日のように一人ドライブに出ている。

夫、散歩の途中で同じ村の老人に誘われて
こぢんまりとした気持ちのいい家にお邪魔する。
老人は一部屋にがらくたを集め、博物館と称して悦に入っていた。
老人はがらくた集めと、丘の上から望遠鏡で景色を眺めるのが趣味だった。
老人、礼儀正しく拝聴するふりをする夫に、収蔵品=がらくたの来歴をホクホク顔で語る。

これはA家に来た、息子の戦死を報せる電報。
これは墓場で採れた大きなホコリタケ。


2752/3:2013/11/26(火) 03:48:08.02
これは去年、教会のミサの最中に入ってきた蛇の標本。
大尉が殺したんですよ。彼はハンサムだと思いませんか。
「ええ、でも僕たち大尉の事はあまり知らないんです」
そうですか、ワシゃてっきり親密なお付き合いがあるものだとばかり…
「どうしてそうお思いになったんです?」
ワシの勝手な勘違いですよ、ところでこれは匿名の怪文書です。
「こういう物って、事実が書かれていたりするのでしょうか」
おそらく。皆見てないようで見ているんですよ。
「…大尉って何をしている人なんでしょう」
不労収入で気楽に暮らしている人です。
御婦人方を口説くのが唯一の趣味だと、ワシは睨んどります。

276 3/3:2013/11/26(火) 03:53:32.77
この水晶は近くの石切場で採れたものです。
もう廃業してますが、車を乗り入れる事ができるので、
大尉が人目を忍ばにゃならん相手との逢い引きに使っているとの噂が…
おっと、陰口はいけませんな。
でも、羊飼いの少年たちが面白い場面を何度も見ているのは確かな事実なんです。
ワシだってつい先程、大尉の車が石切場に入ってゆくのを見ました。
真っ赤な車が後に着いてゆくのもね。
あなたの奥様も赤い車をお持ちでしたな。
そんな事より、この水晶の面白い来歴をお聞かせしなくては。

夫は用事を思い出したと言って、石切場へ向かう小道を走っていった。
老人は夫が忘れていったパイプを博物館の収蔵品に加えた。終

 

炎のなかの絵 (異色作家短篇集)
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