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256老後の楽しみ1/2:2013/12/29(日) 16:22:21.49
『老後の楽しみ』 小池真理子

老齢の主婦は夫と息子と3人で平凡な暮らしをしていた。
生活に不自由はなかったが、
同じ事の繰り返しな毎日や無口な夫と息子に内心うんざりしていた。

ある日主婦は思い切って一人旅に出る。
家事から解放され自由を満喫するが一人で観光する事に寂しさを覚える。

途中立ち寄った神社で老紳士1人、老女2人で観光する3人グループに
カメラのシャッターを頼まれる。
お礼に食事に誘われ、彼らの関係を勘ぐりながらも3人の人柄の良さに惹かれ同行する。
老紳士は75歳、老女2人は70歳。
65歳の主婦は「まぁ若い」「一人旅?それはいい。年を取っても人生謳歌しなくちゃね」
と言われ嬉しく思う。
老紳士は老女2人の住む長屋の大家さんで古い友達同士だと言う。
ランチを済ませ共に周辺を散策しているうちにすっかり打ち解ける主婦。
生まれ変わったかのように楽しい一時を過ごす。

旅の終わり、「別れるのが名残惜しい。また一緒に遊びましょう」と言われ
密かに老紳士に心惹かれていた主婦は舞い上がり、退屈な毎日から抜け出す事を夢想する。

その後老紳士から電話があり、主婦は3人の住む長屋へ招待される。
何を着ていこうかしらと浮かれる主婦。
その晩、夕食の席で息子が婚約者を紹介したいと切り出す。
同じ会社の秘書で二年前から付き合ってたと言う。
何を考えてるか分からなかった息子の堅実な一面を見て安心し、祝福する主婦。
息子の結婚への喜びもあるが、
それ以上に母親業から解放され人生を謳歌できる喜びの方が大きかった。
後は夫が片付けば完全に自由だとも考えるがさすがにそれは不謹慎だと恥じる。

主婦は3人の暮らす長屋を訪ねる。長屋は木造で、見るからにさびれていた。
四室ある長屋の三室を3人で使い、一室は空き部屋になっていた。
3人とも家族はなく1人の生活を楽しんでいるようだ。
老紳士は元金持ちの地主だったが15年前に火事で屋敷と家族を失ったと言う。
主婦は息子が結婚する事、その後は自分の人生を新たに謳歌したいという決意を3人に話す。
老紳士といい雰囲気になった主婦は紳士と一緒になる事を現実問題として考え出す。


257老後の楽しみ2/2:2013/12/29(日) 16:23:14.79
年末。
何度か遊びすっかりグループの一員になった主婦は3人と温泉宿に来ていた。
主婦は酒に酔い潰れ、目が覚めると朝になっていた。
3人とTVを見ながら朝食をとっていると、信じられないニュースが流れた。
主婦の家が火事になり就寝中の夫と息子が死亡したと言う。
ぽとりと箸を取り落とす主婦。

「これでやっと念願が叶ったわねぇ」
老女が味噌汁を飲みながら言う。
「15年前、ご家族全員を死なせたのもこの方(老紳士)なの。
 老後を楽しく過ごすには最高の方法よねぇ。
 亭主を亡くした私に新たな楽しみを教えてくれたのもこの方。
 互いの財産を使い果たすのはあっという間だったわ。
 そんな時、あなたと同じように退屈していたもう一人の老女と出会い仲良くなったの。
 そして、老女のご主人が火事で亡くなったのよ」
「その生命保険でハワイに行ったわね。楽しかったわぁ」
もう一人の老女も言う。

主婦は顔面が蒼白になるのを感じた。体が小刻みに震える。
老紳士はにこにこ微笑んでいる。

「ゆうべは老紳士が頑張ってきてくれたのよ。ついさっき帰ったの。
 息子さんが結婚して別居する前にやっておかないと、財産が一人占めできないものね」
「長屋の部屋はもう一室空いてる事だし、希望通りの老後が始まるというわけだ。
 よかった、よかった」

主婦に孫でも出来れば新しい人生の楽しみを味わえただろうし
結婚を目前にとばっちりで巻き込まれた息子(無口だが誠実で真面目な会社員)が不憫で
後味悪い。胸糞悪の類かもしれないが。

『恐怖配達人』に収録されてるがこの短編集はほぼ全編後味悪作品。


258 本当にあった怖い名無し:2013/12/29(日) 23:16:10.71
ひ、ひえ~
おそろしあ

259 本当にあった怖い名無し:2013/12/30(月) 00:35:57.10
恐怖配達人て昔オムニバス形式でドラマされてたよね
多分原作とはかなりちがったんだろうが
萩原流行がストーリーテラー的な役で出てた
そのエピソードはなかった気がするけど毎週後味悪かったとは思う
もう一度見てみたい

260 本当にあった怖い名無し:2013/12/30(月) 00:44:25.61
こういう話は大好き

 

恐怖配達人 (双葉文庫)
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