黙示録(池上永一)
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635:本当にあった怖い名無し:2014/01/14(火) 14:39:22.05
- 池上永一「黙示録」
琉球王国時代「踊り」は国の重要な外交手段のひとつ。
踊りの役者である子供たちは国家公務員的身分。
最下層身分の芸人の子供だった了泉が踊りの才能を見出され抜擢され、
どんどん出世し身分も芸も最高峰に上り詰めながらも
その驕りのため落ちぶれていく話。この了泉が、本当にクズなやつ。
踊りの試験の前日にライバルの雲胡(家柄も性格もよくまじめ)の足の甲を刺したり
雲胡の婚約者をレイプして結婚したり
権力者の性奴隷になって出世を狙ったり
出世したらしたでおごりたかぶって傲慢の極み
お祝いを言いに来た母親が人に忌み嫌われる業病の患者なので追い返したり
妻の父親に所業を叱責されてかっとなって殺害もちろん悪漢小説とか悪い奴が主人公の物語っていうのもあるけど
本当にこいつは不快な奴。しかも周囲が、とにかくあまりの踊りの才能の素晴らしさ故に
罪業をすべて許してしまうという胸糞の悪さ。
国王が太陽とするとその対となる月だというからもやもや倍増。息子に拒まれた母親は、雲胡と、後に彼と結婚する女に拾われ
隠れ里のようなところで穏やかに暮らし、
雲胡が役作りに悩んでいると美しい紅型染の着物を
息子ではなく雲胡に差し入れたりしている。ラストは、了泉は落ちぶれてもとの身分に戻ったとはいえ特になんの罰も受けず
洞穴にこもって修行して出てきて昔の自分みたいな芸人の子を引き取る。ストーリー自体は面白いから読んでしまうけど
主人公は最初から最後までクズで後味悪い。