ブラック・ジャック/第208話「落下物」(手塚治虫)

775本当にあった怖い名無し:2014/02/17(月) 11:25:25.95
このスレの漫画ネタとしては定番のブラック・ジャックから「落下物」

この話は一話完結が基本形式であるブラック・ジャックにしては珍しく、
「ブラック・ジャック病」って話から続いている
それにもかかわらず、何故かこちらの話だけ単行本には収録されず、
コンビニ販売の本でやっと本誌以外に出た、という経緯がある
今は文庫版「トレジャーブック」で未収録作品の一つとして
「ブラック・ジャック病」と一緒に収録されてる

だからまず前提として前篇「ブラック・ジャック病」から解説
冒頭で「治すのに大金がかかるという理由でブラック・ジャック病と命名された病気がある」
と聞いて怒るBJ
名付けた人物はクーマという医師だと知ったBJの下に小包が届く
差出人はクーマで、中身は患者の胃(病気で肝硬変のように変異した)
中の手紙には「あなたこそこの病気に立ち向かうべき人だ」と書かれていて、
それからずっと胃を送り続けてくる
(あまりにしつこいので、最後には開けずに燃やしたら果物だった、というギャグが入る)

ついにはBJも折れて、
クーマのいるガボン(アフリカの小国、実在)のオコンジャという小さな町へ向かう
そこには死後数日たった患者の死体があって、置かれていたレコーダーには
「さらに130キロ離れた村で病気の原因を調べている」というクーマの声
BJは帰ろうとするが、その死体がクーマの妻で、
BJに治してもらうことを心から望んでいたと聞くと思い直してクーマの下へ

村でクーマに会ったBJだが、クーマも病気にかかっていた
クーマによるとこの国で主食としているヤムイモの変異種による
食中毒ではないかとのこと
クーマは治療法解明のため、自分を実験台として手術してほしいという

BJがいざクーマの手術を始めると、そこには黄色い粘液におおわれた胃
この粘液が血管(どんな細いものでも)に入りこむと、ケイレンを起こして死亡するという
BJは胃の摘出を行い成功したと確信するが、
終了後休憩中にクーマがケイレンを起こして死亡
BJはなおも病気と闘い続ける決心をする

ここまでが「ブラック・ジャック病」の話


776本当にあった怖い名無し:2014/02/17(月) 11:26:19.19
ここからが「落下物」

BJは一か月間村にとどまって病気と闘い続けるが、
手術はすべて失敗、手がけた患者は全員死亡
病気で両親を失ったその村の少女・ルンバは、家宝の退魔の刀で手術すれば
悪魔を祓えて成功するはずだとBJに進言するが、BJは拒否
その日の手術はどうしてもカタキを討ちたいというルンバを助手につけるが、
ルンバは家宝の刀で処理しようとするため結局追い出され、手術もまた失敗

翌日、巨大なヘリコプターが素通りしたのを見たBJの下に郵便が届く
BJはヤムイモの変異の原因を探るためカイロ大学にサンプルを送っていたのだが、
検査の結果なんとイモの変異は大量の放射線によるものだった
BJは発生した病気は治しようがないから原因を討つしかない、
カタキの正体を見せてやるといい、ルンバを連れだして刀でイモの葉を切らせる
その調査の最中にもヘリコプターの姿

村からかなり離れた場所の畑で、イモの葉の形などがおかしいことに気づくBJ
さらに進むと枯れた木や異様に捻じ曲がった植物などが並ぶ異常な場所
そしてその奥にあったのは、巨大なクレーターと
2,3年前に墜落したと思われる原子力エンジンの衛星
放射線の原因はこの衛星だったのだ

BJは政府に連絡し、この衛星を有する国に賠償金を請求することが
カタキを討つ手段だとルンバを説得するが
そこに件のヘリコプターが来て、BJをひとしきり攻撃した後着陸
このヘリは衛星を有する国のもので、極秘に衛星を処分するためにやってきたのだ

数人が衛星の下へ降りて回収作業をする中、
一人が口封じをするためBJに銃を向けるが
それをルンバが刀で攻撃、刺し違える
ヘリから出てきた工作員が手りゅう弾を構えるが、BJはそれをメスで攻撃、
落ちた手りゅう弾でヘリコプターは爆発し、クレーターに落下、回収班は全滅
瀕死のルンバにBJは「おまえさんはよくやったぜ 悪魔を殺したんだ!」と告げ、
刀を持たせてその場を去って終わり


777 本当にあった怖い名無し:2014/02/17(月) 11:27:15.41
まずイモの突然変異が原子炉を積んだ衛星の放射線によるもの、
っていうのが奇病を作り上げる為の設定としてかなり強引かつ唐突
(前篇には「イモの突然変異」とは言っても、放射線のほの字もなかったし
 回収班も全く姿が出てこなかった)

まあ宇宙人やら出自不明の生物やら生物兵器用の新種ウイルスやら出ている
ブラック・ジャックで今更そこに突っ込むのは野暮だけど
「BJがどれだけ頑張っても病気そのものを治すことができず、完全に匙を投げ、
 すでにかかった患者には全く希望がない」って展開がショックだし、
衛星の持ち主である国は具体的な名前が出てこない
(実在の国は出しようがないだろうけど、架空の国家でもよかったんじゃないのか)し
BJが回収班を皆殺しにし、登場するゲストキャラまで死亡したところで終わり、
国際問題レベルの大事なのにその後の顛末は明かされずという幕引きがモヤモヤする

「ブラック・ジャック・ザ・カルテ」っていう、
劇中の病気や手術についての考察を
まとめた本(いわゆる考察本)のシリーズがあるんだけど、
そこで未収録エピソードの話題が出たときにこの話も取り上げられて、
「手塚本人はこれを収録しないと尻切れトンボじゃないかと語っていたという」
と説明されてた

でもこんなモヤモヤする結末だったら
前篇のラストで希望を持たせたまま幕引きの方がすっきりすると思う
ちなみにその考察本でのこの話の評価は
「無理矢理ブラック・ジャック病に決着をつけようとしている感じがぬぐえない」
と不評だった


792 本当にあった怖い名無し:2014/02/17(月) 13:38:32.32
>>777
「手塚本人はこれを収録しないと尻切れトンボじゃないかと語っていたという」

その回ってアシしてた奴が
「ブラックジャックが克服すべき病気なのに実は病気じゃなかったなんてオチは云々」
とかグダグダ抜かした結果、
手塚が「後編、無くてもいいですかね?」って言って未収録になったはずだぞ。
元々単行本に収録する話は手塚自身が選んでたんだし
by「封印作品の謎」のそのアシへのインタビュー


793 本当にあった怖い名無し:2014/02/17(月) 13:59:32.07
>>792
あれ、そうなのか
俺が読んだ考察本(>>777で上げているアレ)は
封印された理由も全くの推測だけで話していたし
そっちの方が正しいのかな…

ブラック・ジャック関連って情報が錯綜していてはっきりしない話題結構多いよね
企画の始まりとか連載終了の経緯もあやふやだし

 

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