ホーム » 小説 » 小説/は行 » 初ものがたり/白魚の目(宮部みゆき)

543 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:05/01/03 23:02:23
宮部みゆきの「初ものがたり」って時代物の短編が後味悪かった。
この短編は茂七って岡っ引きが事件を解決していくんだけど
どれもこれもメデタシメデタシで終わらない
なんか引っ掛かるものが残る話ばかり。
個人的に1番後味悪かったのが「白魚の目」
ヘタクソだけどまとめてみた。

544 名前:しらうおの目 1 投稿日:05/01/03 23:03:03
岡っ引きの茂七は春の旬、獲れたての白魚の生きてピチピチしたのに酢をかけて
つるりとそのまま飲み込むように食べるのが好きだ。
だが子分の糸吉は白魚が食べられないと言う。
生き物を喰ってると実感しちまうあの感じが好きになれない
あの小さな黒い点々のような目で見つめられると箸をつける事ができないと。
茂七は「あれは生きてる魚を喰ってるんじゃねえ。春を飲んでるんだ。」と言って糸吉を笑う。

江戸の町に浮浪者のような生活をする子供たちがだんだんと増え始めた。
なんとか対策をたてねばと思っているうちに事件は起こる。
お稲荷様をねぐらにしていた5人の子供たちが毒殺されたのだ。
茂七は現場に駆けつけるが子供たちは息を引き取る。
「・・・ごめんしてね・・・ごめんしてね・・」と息絶え絶えに謝りながら。
きっと食い物を盗んで捕まりそうになったり
大人に叱られたりするたびにこうして謝っていたんだろう。
謝りながら息を引き取った子供たちを前に茂七は涙を堪える。

お稲荷様のお社に供えられたお供え物の稲荷寿司の中に毒は入っていた。 
犯人は浮浪者の子供たちがお供え物に手をつける事を知っていて毒を盛ったのだ。
ひもじい生活の中、子供たちは助け合いながら生きてきた。
そんなに数はなかったであろう稲荷寿司を仲良く分け合って食べた。
強い者や最初に見つけた者が1人占めしていれば他の者は助かったかもしれない。
しかし子供たちはそうしなかった。
仲良く分け合って一緒に食べた。だから全員助からなかった。


545 名前:しらうおの目 2 投稿日:05/01/03 23:04:21
茂七は毒の入手経路をしつこくしつこく調べ上げる。
そこに、ある大店の女中をしている娘が青い顔して訪ねて来る。
「毒の入手経路を調べられていると知って、いてもたってもいられなかった。
 調べられれば私が毒を買ったとわかってしまう。そうすれば私が犯人にされてしまう。」
茂七は女中から話を聞く。
女中の話によれば店のお嬢様に毒を買って来いと命じられたそうだ。
そのお嬢様は子供の頃から生き物を殺すのが好きで
生き物が死ぬのを見るのが楽しくて堪らないというような恐ろしい性癖を持っていた。
女中はお嬢様がまた何か殺す気ではと怯えたが店主に
「犬か猫でも殺すんだろう。殺せば半年くらいは大人しくしているんだから
 買って来てやりなさい。」
と言われ毒を買いに行った。
女中が役人に調べられれば店主はお嬢様を庇い女中に罪をかぶせるだろう。
事件を知ってから女中は怖くて仕方なかった。

女中の話を聞き茂七は思う。そのお嬢様の頭の中はどうなっているのだ?
お嬢様の目には子供たちが犬や猫と同じに見えるのか?
いや、もっと悪い。お嬢様には子供たちが白魚にしか見えないのだ。
茂七が生きたまま平気で飲み込んでいた白魚に。

茂七は考える。お嬢様を磔獄門にしてやりたい。だが結局、お嬢様は捕まらないだろう。
大きな店だ。捕まったとしても上に賄賂が送られ無罪になるだろう。それならば・・・
茂七は、浮浪者の子供たちが何年も安心して暮らしていけるくらいの金を
この店に出させ子供たちが安心して生活できるようにしてやろう
二度とお嬢様にあんな真似はさせないように脅してやろうと決心する。

5人の子供たちが殺されてから1年足らずのうちに
お稲荷様のすぐ脇に小さな地蔵堂が建てられた。
小さな地蔵が5つ肩を寄せ合うように並んでいる。

そしてその事件の後、茂七はあんなに好きだった白魚が食べられなくなった。
誰にどんなに勧められても「勘弁してくれ」と断るようになった。


548 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:05/01/03 23:27:18
>>546
乙です。たしかにすっきりしない結末だね。宮部みゆきの話ってありきたりのハッピーエンドってあまりないよね。

549 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:05/01/03 23:42:17
>>546
俺は後味悪いと思った。とくにココ。
>ひもじい生活の中、子供たちは助け合いながら生きてきた。
そんなに数はなかったであろう稲荷寿司を仲良く分け合って食べた。
強い者や最初に見つけた者が1人占めしていれば他の者は助かったかもしれない。
しかし子供たちはそうしなかった。
仲良く分け合って一緒に食べた。だから全員助からなかった。

なんかここで泣きそうになった。
宮部みゆきって話題になってたけどこんな話も書くんだな。
今度読んでみようと思ったよ。
長文なのにスラスラ読めた。
546うまいね。

 

初ものがたり (新潮文庫)
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