ホーム » 小説 » 小説/か行 » くじ(シャーリイ・ジャクスン)

566 名前:運命の“くじ”1/2 投稿日:05/01/04 18:26:02
その日は朝から子ども達がたくさんの石を、嬉しそうに集めていた。
陽が高くなる頃に村の広場に全ての人が集まった。
舞台が作られ、そこに箱が置かれている。
村長の掛け声で、各家の長が一人ずつ舞台に上がり、箱の中に手を入れて中から折り畳まれた紙片を一枚掴み取る。
「いいか、全員が“くじ”を取り終えるまで、開けるなよ!」
全ての家長が“くじ”を取り終え、村長の「よし、開けろ!」の掛け声で一斉に紙を開いた。
「誰が当たった?」
「Aじゃないのか?」
「いや、Bだ」
「Nが当たった!Nが当たった!」
皆誰が当たったのか探していてザワザワしていたが、紙に書かれた黒い丸を呆然と見ていた
Nが“くじ”に当たったのを知った。
「なぁ、これは何かの間違いだよ。今日のこの人、ちょっと調子が悪いんだよ」
Nの妻がみんなに言い始めた。
しかし誰も取り合わず、Nの家族全員に、舞台の近くに行くように促した。
「ね?もう一度やり直そう?」
Nはまだ呆然としている。Nの娘二人は何も言わず、顔色も変えずに舞台のそばに立っている。
おろおろとしているのはNの妻だけである。

567 名前:運命の“くじ”2/2 投稿日:05/01/04 18:26:45
村長に呼ばれ、ようやくNはのろのろと舞台に上がり、箱に手を入れた。
妻も何度も振り返りながら舞台に上がり、“くじ”をひいた。
娘二人も順番に舞台に上がった。
群衆の中ではこっそり、「神様、どうかあの娘は当たりませんように」と祈る者がいた。
四人は舞台の下に並び、村長の声で“くじ”を開いた。
Nはようやく安堵の笑みを浮かべた。
娘二人は愛くるしい顔で何も書かれていない紙をひらひらさせた。
妻は恐怖に顔を引きつらせ、紙に書かれた黒い丸を見ながら
「これはイカサマだよ!無効だよ!やり直しだよ!」
と絶叫したが、誰も聞いてはいなかった。子ども達は広場の端に置いていた石を
大人達に配って廻った。
娘二人もニコニコしながら自分たちの手より大きい石を受けとった。
妻はまだ
「やり直しだよ!誰かが細工したんだよ!」
と大声を張り上げているが、
全ての者が石で襲いかかった。

569 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:05/01/04 18:38:12
>>568
乙!
しかし、その村に住み、儀式(?)に参加した「妻」も
他の人が当たればその人に襲いかかるつもりだった訳でしょ?
過去に同じ儀式で加害者側に回った事もあったかもしれない。
怖いっつうより自業自得というか因果応報というか・・

 

くじ (異色作家短篇集)
くじ (異色作家短篇集)
贈る物語 Terror みんな怖い話が大好き (光文社文庫)
贈る物語 Terror みんな怖い話が大好き (光文社文庫)


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...