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510 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:05/02/16 13:32:54
SF作家、ハーラン・エリスンの「少年と犬」という作品
名作と思うし、好きなんだけど…

未来の荒れ果てた世界に生きる、主人公の少年ヴィク。
ヴィクは天涯孤独の身の上で、一匹の犬、ブラッドと組んで生活している。
ブラッドは先の大戦で軍用犬として手術・訓練された者の生き残りで
人と同じ、もしくはそれ以上の知能を持ち、テレパシーを使える。
少年は犬に文字など生きていく為の知識を教わり、
犬は少年に自分を守り養ってもらうというギブアンドテイクの関係。
その時代、犬とそのような関係を結ぶ人間は少年の他にたくさん居る。
犬とペアで生きていない者は、点在するギャング団の一味か、もしくは「下のやつら」と呼ばれる
地下のシェルターに町を作って暮らす平和主義者たちか、どちらかだ。
ブラッドはそんな犬たちの中でも特に強くて賢く、ヴィクの親か教師のような存在だ。二人は上手くやっていた。
ある日、ブラッドが「女」を見つける。女は地上では珍しい存在だ。
若いさかりのヴィクのために、ブラッドは女も見つけて来てくれる。
女は男装し、チンピラが集まる映画館に来ていた。
地下シェルターの町から地上を覗きにやってきた来たはねっかえりらしい。
女の後を追うヴィクとブラッドだが、同じく女を追ってやってきたギャング団と争うはめになってしまう。
激しい死闘の末、ギャング達(と、犬たち)を追い払うことに成功したヴィクとブラッド。
やっと手に入れた「下」から来た女は、クィラ・ジューンという美少女だった。
今まで見たのは娼婦か、もしくは自分と同じような荒くれの女たちばかりだったヴィクは、
初めて見た女の子らしいクィラ・ジューンにすっかり夢中になってしまう。


511 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:05/02/16 13:34:54
(続き)
「愛って知ってる?」とクィラ・ジューンは問う。ヴィクは答えられない。
ブラッドは少女に入れ込むヴィクに危機感を感じて警告するが、そのことが元で少年と犬は仲違いしてしまう。
彼女と居ることを選ぼうとしたヴィクだが、その直後、彼女の裏切りに逢ってしまう。
激怒して、地下に逃げ帰ったクィラ・ジューンを追おうとするヴィク。
ギャングとの戦いで傷ついたブラッドを置いてヴィクは地下の町へと降りていく。
平和主義者たちは広大な地下の町を築き、第一次世界大戦前の保守的な生活を守っていた。
(それが世界がもっとも平和だった時代だったため)
荒廃した地上を嫌い、清らかな暮らしを守る人々だが近年は男子が全く産まれず、滅びの予感にさいなまれていた。
実はクィラ・ジューンは、地上から若い男をおびき寄せるためのおとりだった。
人々から子孫を残す役を頼まれ、ヴィクは最初の相手がクィラ・ジューンなら、と承諾する。
二人きりになった途端、ここから逃げたいと哀願するクィラ・ジューン。
ヴィクは怒りを忘れ彼女を連れて地上へ戻ることにする。
奪われた銃を取り戻し、強行突破する二人。それは結果的に彼女の父親を殺してしまう作戦でもあった。
長年のたがが外れたように母親や身内に銃を打ちまくるクィラ・ジューン。
二人は脱出口を見つけ、地上へと戻ってくる。
シェルターの前にはブラッドが居た。傷だらけで弱っていたがヴィクを信じて待っていたのだ。
瀕死の親友の姿に驚き動揺するヴィク。今までの楽しい日々が頭をよぎる。大事な相棒を見捨てられない。
ギャング団の居る町には戻れない。砂漠の真ん中で動かすこともできない。
何か、手っ取り早く栄養になるものを食べさせなければ。
苦悩の末、ヴィクは決断する。この場で食べ物になるのは、彼女しかいない。
そして、数日後。栄養を取り、傷の手当てをしたブラッドは何とか助かりそうだ。
ブラッドを抱きしめているヴィクの頭の中には、クィラ・ジューンの言葉が何度も繰り返している。
「ねえ、愛って知ってる?」
ヴィクは答える。「ああ、少年は、犬を愛するものだ」

 

世界の中心で愛を叫んだけもの (ハヤカワ文庫 SF)
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