ホーム » 小説 » 小説/さ行 » せまりくる足音(小松左京)

517 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/07/01(金) 04:21:31
小松左京ってば、あれが後味悪かった。タイトルは忘れたんだけど、
暗い未来ジャンルの話。

その時代には人々は年齢で対立してる。
10代と20代がハバを聞かせており、歳とるほどゴミ扱いで、
老人は若者に会うと虐待されるので外にも出られない。食料を手に入れるのもやっと。
主人公は、その時代に生きるうらぶれた老人。その日、老人は若者に変そうして夜の町に出る事に。
生活品や食料は、こうしてゲットせねばならない。危険なカケだ。
変そう中は、いい歳してどうしてこんな事を、などと落ち込んでるが、
いざ長い髪にグラサンの派手な服を着てみると、気分もちょっと若返った感じ。
若者たちは年代ごとに、簡略化された特殊な言葉を使う。それが出来ないと変そうはバレる。
老人は、地下放送のラジオで随時知らされる、新しい若者の言葉を頭にたたきこんでいた。
心なしか足取りも軽く、無事に20代として町を歩き、少し酒なども飲んだりする。
老人は若い娘に誘われて、ついいい気になって若者の踊りに参加することにする。
だがそれは、ハダカで躍るものだったのだ。逃げようとする老人に若者たちの手が伸び、
服がはがされた。絶望のなか、老いた身体がむき出しになり、カツラも取れてしまう。
恐ろしい沈黙。恐怖にすくむ老人に、若者たちの冷え切った目。そして虐待が始まる。
更にそこに「10代ガキ」のグループが現れ、老人はチェーンや刃物が飛び交う抗争に巻き込まれる。
とがったヒールや重い靴に容赦なく踏みしだかれ、老人の肉はさけ、骨はくだけていく。
耳には、さっきまで自分のモノだった軽やかな若者のタップのリズムが聞こえている。
だがそれは老人の心臓の音だった。音は次第にか細く、ゆっくりになり、そして消えていった。

若者たちの使う「ポの人、シックだわ」とか「やっち!」みたいな造語が、
だんだん現実に近くなってる気がするのも怖い。

 

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