ホーム » 小説 » 小説/は行 » 暴風雨の夜(小酒井不木)

280 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/09/20(火) 04:02:51
小酒井不木の『暴風雨の夜』が
後味悪かった。

知識人達が集う怪談の会で、
性病を扱う医師Mが半ば得意気に語り出す。

若い頃のMと彼の妻は共に冒険好きだった為、
平穏な結婚生活に退屈していた。
そこに訪れる梅毒の男。
彼は結婚が三ヶ月後に迫っている旨を
告げ、その前に治してくれとMに依頼する。
Mは、梅毒はそうたやすく治る病ではない、
花嫁に伝染さない為にも結婚を延期すべきだ
と忠告するのだが、男は頑として聞き入れず
そのまま結婚してしまう。
花嫁を心配したMとその妻が調べたところ
信之と言う名のその男は
財産目当てに名家の婿養子となった事、
彼の新妻の名は友江であることがわかった。
結婚後間もなく友江は両親を亡くし、自らも
信之に梅毒を伝染されてしまう。
体中がぶつぶつに覆われ、髪も抜け落ちて
日毎容色が衰えていくが、離婚を恐れる信之は
それでも友江を医者にかけようとはしない。
それどころか女中を雇い入れては口説くので
それを知った友江は梅毒の悪化も重なり
また妊娠中だったこともあって発狂する。
持て余した信之は友江を土蔵に監禁し、
ただ一人手元に残っていた美しい女中に
世話を任せる。


281 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/09/20(火) 04:06:55
この女中はどういう訳か、
信之に気のある様な素振りを見せる一方で
友江にも優しく接していた。
ある時「奥様が生きている限り
お言葉には従いません」という女中の言葉に
信之は友江を殺そうと決意。
暴風雨の夜に実行に移す。
土蔵から戻り女中には友江が自殺したと
嘘をつくが、女中は部屋の隅に奥様が見える
と言う。
そんな筈は無いと土蔵にとって返すと
死体が消えており、それを聞いた女中は
恐怖のあまり気絶してしまう。
チャンス到来とばかりに
女中に手を出そうとした信之も
突如強い眠気に襲われ倒れる。
暫くして信之が目を覚ますと、
傍らに寝ていたのは女中ではなく
皮膚のただれた赤子の死体だった。
信之は精神に異常をきたし、
二度と元には戻らなかった。

282 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/09/20(火) 04:08:45
実はこの事件はMが仕組んだもの。
女中の正体はMの妻で、信之が土蔵に入り
友江の首を絞めている間
Mも物陰からそれを見ていた。
信之が出ていくと友江を介抱し
息を吹きかえさせたが、呼吸困難のショックで生まれた子供は
その場ですぐに息を引き取ったので、
予め眠り薬を盛られ熟睡している信之の脇に
妻扮する女中の代わりに
寝かせておいたのである。
友江の梅毒が軽い内に連れ出して
治療する事は簡単だったが、Mは敢えてそれを
せず信之を徹底的に懲らす機会を
伺っていたのだった。

284 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/09/20(火) 06:25:17
医者GJだな

285 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/09/20(火) 07:00:01
いや軽いうちに治してやれよ…
子供も見殺しだし

286 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/09/20(火) 08:02:58
うむ、冒険好きの医師夫婦が刺激を求めて幸薄い嫁を利用した感じだな

287 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/09/20(火) 11:01:49
>280
ただ嫁を助けたくて善意でやったってわけではなく
自分たちが楽しみたくてやったって感じだよな。
最初の得意気に語りだす、とか冒険好きとか退屈していたとか読んじゃうと・・・。
嫁はどうでもよくて梅毒男をいじめたかっただけって感じ。
まあいじめられても仕方ないような男だけどさ。
嫁がひたすら気の毒だ・・・。ナイス後味。

288 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/09/20(火) 11:41:48
名家は新婚まもなく子もろとも滅びたわけだが、
夫があてにしていた財産はどこへ行ったんだ?

その行く先が一番後味悪い。

 

怪奇探偵小説名作選〈1〉小酒井不木集―恋愛曲線 (ちくま文庫)
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