ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その36 » 赤いチャンチャンコ(永井豪)

98 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/10/31(月) 21:02:49
ショートショートの後味悪かった話を。
永井豪の恐怖オムニバスコミック「霧の扉」から「赤いチャンチャンコ」。
ある老人。やさしい息子夫婦と可愛い孫にかこまれて、幸せな毎日。
夫婦は笑顔をたやさないし、赤ちゃんの孫はおじいちゃんが一番好き。
ある夜、老人はしみじみと自分の幸福をかみしめ、
「これ以上は何もいらない。この幸せがいつまでも続けば良い…」と感謝して眠りにつく。
翌朝、老人は慣れない異臭で目をさます。
ふと見ると、枕元に、真っ黒なチャンチャンコが、きちんとたたんで置いてあった。
老人は、その日が自分の60歳の誕生日である事に気づく。とたんに、恐怖におののく老人。
「に、逃げなければ。黒いチャンチャンコなんて着たくない」
だがその行く手に、紋付きハカマで正装した息子夫婦が待ち受けていた。
いつもの様に、あかるい優しい笑顔のまま、老人はつかまり、チャンチャンコを着せられた。
ひきつった顔の老人を、やはり正装したご近所たちが待っていた。火も灯っている。
みな笑顔。「めでたい、めでたい」老人の還暦の祝いのために集まってくれたのだ。
やがて老人に、たいまつの火が向けられた。
ボンッ!と大きな引火の音。老人は、火だるまになってころがり回る…。
時は近未来。増加した人口と食料・資源の不足のため、政府は
60歳以上の人間を排斥する法律を作った。還暦の祝いの日こそ、めでたく人口がひとり減る日なのだ。
人々の笑顔の中、ガソリンを吸った黒いチャンチャンコが炎で赤く染まり、
やがて消えていった。またひとつの人生が、終わりを告げたのだった。

最近、知り合いが還暦でチャンチャンコ送られてね。ちょっと思い出して、後味悪かった。

 

永井豪怪奇短篇集 (2) (中公文庫―コミック版)
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