ホーム » 小説 » 小説/さ行 » 新釈 遠野物語(井上ひさし)

217 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/04(金) 05:01:00
後味悪い話してやるから仲直りしろよ。
井上ひさしの「遠野物語」から。一応、現代の物語だよ(ちょい古めだが)。
元の遠野物語に原作あるのかも知れないが俺は読んでないし。

遠野の山に住む老人が語る、つらい過去のあやまち話。
まだ足腰も丈夫で、山奥と町を往復し、物売りで生計をたてていた頃。
老人には、恋女房がいた。美人で智恵があり、働き者。相思相愛、最愛の人だった。
何日も留守にする時は、悪い虫がつかないかと心配で急いで帰った。
ある時の道中、彼は旅の僧に、「百ぺん聞いて人を疑え」という言葉を与えられる。
決して忘れるな、と言われ、心にとめておくものの、よく解らない。
さて夜に我が家に近づくと、なんと障子に影がふたつ映っている。
ひとりは妻。もうひとりはどうやら男のようだ。
僧の言葉を思い出した老人は、いやいや、知人か親戚かも、と考える。
だが何か不自然で、さもしいと思いながらも草むらに座り込んで監視する格好になった。
妻は親しげに酌などしている様子。それでも自分を押さえる老人。
だがやがて、妻は男にしなだれかかり始めた。
ついにキレた老人は、「この売女!」と一喝すると部屋に飛び込み、
妻を一刀両断に切り伏せた。妻は即死。
返す刀で間男を切ろうとして、老人は気づいた。
そこにすわっていたのは、老人の着物を着せた、ワラの束だった。
夫の留守中、不審者などが押し入らぬよう、機転のきく妻は、
夫が在宅のように見せかけ、わざと影を映して会話などをしていたのだ。
「百ぺん聞いて人を疑え、百ぺん聞いて人を疑え………」
僧の言葉が、ぐるぐると頭にうずまく。
後悔に打ちひしがれる老人。だがもう遅かった。
それで、老人はそれ以来ずっと一人でいる。今も、一人でいるそうだ。


218 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/04(金) 05:54:35
>>217
相手すら確認する時間のない、老人の抜き手も見せぬ技の冴えが起こした
悲劇ですね。

220 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/04(金) 11:20:53
>>218
ワラタ

実際は、飛び込んだものの勘違いとわかって
恥かいた、ぐらいの話なんだろうな。
けど銃だったらありえるかな。


221 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/04(金) 13:36:35
部屋に飛び込んですぐに、こん棒か鉈あるいは鎌等で
嫁さんの頭かち割って「次は間男だ!」と振り向いたら「あれ?」もアリ。

222 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/04(金) 21:04:31
しかし、昔は妻を殺しても「それ以来一人でいる」で済んだんだね。

223 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/04(金) 22:15:17
>222
まぁそうだね。

でもなんかの漫画で読んだけど、昔はみんな自分と家族が生きていくので必死だったりして
(もちろん身分や地方にもよると思うけど)
子供がない家は悲惨なことになったりしたらしいよ。
もちろん全てのところでそうではないんだろうけど。
その漫画の中では農村の話で、
「動けなくなった老人を他人が面倒見てくれることはない。
子供がいなかったり先に死なれた家は悲惨で、
年老いた夫婦は畑を耕すことができず、飢え死にするか、衰弱死するか。
中には自殺してしまう人もいる。
そんな家は手入れもされず死体と一緒に朽ち果てる」
んだそうだ。

嫁さん殺しちゃった男のところに新しい嫁はこないだろうし、
今以上に「孤独」が厳しかった時代だから
結構な罰なんじゃないかな~と思うよ。


286 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/06(日) 20:36:56
>>222
>>しかし、昔は妻を殺しても「それ以来一人でいる」で済んだんだね。

いや、男の人生はまだ続きがあるんだよ。
連作短編の中の一エピソードです。

 

新釈 遠野物語 (新潮文庫)
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