帰って来いと言えばよかった

557 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/13(日) 04:27:52
年輩の叔母の子供のころの体験で、もう40~50年前になるはずなんだけど、
当時、東北の山国に育っていた叔母の近所に、親子三人の家族がいた。
年取った両親と娘ひとりで、たいへん貧しかった。
働きづめで、娘は子供の時から、自分の好きなことした事なんか一度もなかったそうだ。
それが長じた頃、叔母の両親のクチききで、隣り町のけっこう裕福な家との縁談がまとまった。
娘の両親は、これでやっとあの子も幸せになれると、喜んで嫁に出した。

ところが、娘は嫁ぎ先でひどく苦労したらしい。
下女同然にこきつかわれ、「帰りたい」という手紙がよく来た。
親たちは、一度嫁いだからにはガマンするよう言い聞かせたようだが、
ある夜、ついに耐えられなくなった娘が、山を越えて(隣町と言っても遠い)実家に戻ろうとした。
山には鉄道が走っており、踏切なんてない。
感情が高ぶっていたからなのか、我を忘れて走っていたせいか、
娘は線路を渡るとき、鉄道に巻き込まれて亡くなった。
ばらばらの肉片になって、正体もわからない状態だったそうだ。
嫁ぎ先では、役たたずのうえ恩知らず、勝手に出ていった嫁になど、葬式も出してくれない。
後には、半狂乱になった実の両親だけが残った。こんな事なら帰って来いと言えばよかったと悔やんだ。
以来、母親は伏せがちに。また父親は、回収して骨にした娘の破片が足りないと、
時間ができるとザルを持って線路に行き、足りない娘の骨をさがしていたという。
小さかった叔母は、道でよく、ザルを持って線路に向かうその父親と会ったらしい。
叔母本人には責任はないが、自分の家の口利きで成った結婚だったので、
ずいぶん後味悪い思いが残ったということだ。


558 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/13(日) 07:57:25
当事者にはキツいだろうなあ・・・