ホーム » 小説 » 小説/さ行 » 死霊(宮林太郎)

49 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/21(月) 06:04:42
後味悪かった短編小説投下。
宮 林太郎の「死霊」。ガイシュツだったらスマソ。

ふと思い立って、湖畔のほとりに住む画家の友人をたずねる主人公。
だが主人公を歓迎してくれるものの、画家は別人のようにやつれ果てていた。
画家は、自分の妻のことを語り始める。
画家は10年ほど前に結婚していた。
相手は、嵐の夜に湖に打ち上げられたミステリアスな美女。
どこか夢見るようで無口、過去も一切知れないが、その美しさに画家は惹かれ、
家にとどめて介抱するうち、自然に結ばれたのだ。
妻は、極端に笑わない女だった。表情も固く、心の奥に何があるのか判らない。
画家は芸術家ゆえに、そんな妻に奥深い思慮や秘密を感じていた。
画家は妻をモデルに、美しい半身像を描いた。
だがやがて妻は憂鬱症になり、夜の廊下をロウソクを灯して歩くなど奇行が始まる。
そしてある日とうとう、かつて画家が命を救った湖で、溺死しているのが見つかった。
妻は出会ったときからずっと死んでいたような、
ロマンチックな思いにひたる画家。死に顔は白く美しかった。
ところが、翌朝、あんなに調べてもわからなかった妻の身元が判明する。
入院先から逃げ出して行方不明になっていた看者だったのだ。しかも、精神病院の。
画家が、あんなに深みの感じた表情の奥はからっぽだったのだ。
美しい顔立ちも、知的な額も、何もかも見せかけだった。
あっという間に、画家の愚行は近所に広まり、画家は笑い者になった。
ロマンチストな芸術家であったばっかりに、狂人と寝るような無様な真似をしてしまったと、
画家は悔やみ続けているらしい…。
画家が語り終えたとき、部屋の中は急に静かになる。
そして主人公には、暗い部屋の壁にもたせかけた女の絵の中の顔が、
にやりと笑ったような気がしたのだった。

なんか画家が無念なのも判るんだけど、
愛情がそんなに粉みじんに吹き飛ぶもんかな…
なんか画家が結局自愛のカタマリみたいで、人情味に欠ける気がして後味悪かった。


50 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/21(月) 07:33:32
その精神病の奥に何かを感じてこそ芸術家だと思うけどなー。
芸術って突き詰めて行くと狂気に近くなることあるし。
中途半端なヘタレだったんだろうな。

51 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/21(月) 09:25:16
そうだよな。
妻が精神病者だったと知ったのなら、むしろ。妻は普通とは違う→ある意味特別(?)→
そんな妻の特別な何かを感じ取れた自分も特別。凡人には妻の特別性が理解できないから
精神病者として一様にしか扱えなかったんだよ。愚か者たちが。ペッ。
という思考に走って、自分なりの満足感を得ようとする方向に走りそうなもんだが。
まあこういうラストでも、画家が選民思想的な独善家な感じで後味は悪そうだな。

53 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/21(月) 12:20:52
>>49
ピグマリオンってやつだよね。

>>51
後味が悪いのは、画家の凡庸な反応なんだよね。
芸術家だったら世間の嘲笑なんて屁でもない、で独自路線で
自分の世界に浸ってればいいんだしさ。
恥を書いたと失敗を責めるところがつまらないんだよね。


54 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/21(月) 13:56:54
夫婦で芸術家で、おくさんが狂っちゃったのは高村光太郎だっけ?

なんというか、精神病と判明した時点で、
表情やら何やらを全て空っぽ、見せかけと言い切ってしまう画家が後味ワルー。
ゴッホなんかもつきつめた結果おかしくなっちゃたのに。
この画家は結局凡人に過ぎなかったのね。


55 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/21(月) 14:36:52
結局芸術家は普通の人ってことだったんじゃないの?

 

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