静かな黄昏の国(篠田節子)

723 名前:本当にあった怖い名無し :2008/11/24(月) 17:16:17
静かな黄昏の国って小説

先進国の座を奪われ低迷するようになった日本は、
好き勝手に化学物質などの実験場にされるようになった。
植物は育たなくなり、国産の野菜や肉などは幻の存在と化した。
食物は海外からの輸入に頼るしかなかったのだが、
法外な価格のために一部の裕福な人々しか食べられなかった。
そんな状況でも一般庶民の人々は生きていた。食事は安い日本製の固形食だった。
若いころは普通の食事で育った老人たちの体は、固形食物で育った若者よりかは健康であったが、
やはり汚染による害は蓄積されていた。主役格の老夫妻はその事で悩んでいた。
日本の医療倫理は、患者の意思にかかわらず、とにかく患者を生かすことを優先するようになっていた。
病か老いか、どちらが原因であっても、いつかは強制的に病院に入れられ、
死んだ方がいいような苦しみを得ながら、最後の最後まで生かし続けられるてしまうことが恐ろしかった。

妙なキャッチセールスがあった。それなりに高額な料金を払えば、
少なくとも三年間は、生の野菜や肉を食べられ、本物の植物と触れ合える場を提供するという。
その口ぶりからは、そこで暮らせば三年以内に死ぬらしいということがうかがえた。
恐らくは強制的な延命を厭う者のために、安楽死を施してくれるようだった。

話に乗った老夫妻。目隠しされて連れていかれた先には本物の樹木や新鮮な食べ物たちがあった。
はじめは生活を楽しんでいたが、時折老夫妻は今までになく激しく喀血するようになった。
また、木々の中を歩いている時に、頭が二個ある鹿など、奇形の動物を見かけたりした。
実はその場所は、日本が完全に病んでしまうよりも前に、粗雑な核廃棄のため汚染されていたところだった。
被爆を恐れてその場所は封印され、科学実験の場として使われることもなかったため、
皮肉にも放射能に犯されたその場所が、日本で唯一植物を見られる場所になっていたのだった。
植物や動物たちは長い時を経てその環境に順応したようだったが、老夫妻は体を害していくだけだった。
それでも被爆しているが美味しい食事が食べられるし、本当に死ぬような段階になったら、
係のものがやってきて薬により安楽死を施してくれるからと、
老夫妻は以前の何倍ものスピードで病んでいきながらも、食事や風景を楽しむ日々を送った。


729 名前:本当にあった怖い名無し :2008/11/24(月) 22:14:07
>>723
実際、チェルノブイリ原発周辺は野生生物の聖域になってるって聞いたことがある。
放射能によるガン発生なんて、普段から弱肉強食で天寿を全うすることなど少ない動物にとっては
なんの問題にもならないからな。
ちょっと(?)子供の畸形率が上がるだけ。

730 名前:本当にあった怖い名無し :2008/11/24(月) 22:17:36
そんでもって、その畸形も自然淘汰されるから、ますます問題ないなw
…ないのか?

772 名前:本当にあった怖い名無し :2008/11/25(火) 22:40:33
>>729
テレビでチェルノブイリのその後のドキュメンタリー見たけど
周辺の民家は崩れかかってて荒れ放題なんだけど
果実園とか雑草ボーボーでリンゴとかちゃんと実ってて
熊の親子がそのリンゴ食ってた。

773 名前:本当にあった怖い名無し :2008/11/25(火) 23:41:09
50年は草木が生えないと言われていたのに、実際は3年で生えてきたからね。

 

静かな黄昏の国 (角川文庫)
静かな黄昏の国 (角川文庫)