ファーブル新婚記(山上たつひこ)

327 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/26(土) 23:56:04
虫の関係で思い出した漫画がある。 これは後味悪い人情話として聞いて。
山上たつひこの、なんとか昆虫記という短編。
悪趣味なエッチは一切なし。たまに主人公のパンツが見えるくらい。

主人公は、愛する夫と一緒になったばかりの若妻。
優しく頼もしい夫なのだが、何故か家族については一言も話さず、
結婚式にも夫の親族は一人も来ず、不安に思っている。
そんな主人公が、夫が長男なため、夫の故郷で暮らすことになった。
恐る恐る到着すると、ごく普通のイナカ村。義父母は優しいし、
明るくボクトツな弟くんもいて、ひと安心。何故夫が隠していたか判らない。
だが、目の前で弟が発作で苦しみ始めた。驚く主人公の前で何と弟は、
首から下が全てフンコロガシに!! 顔はそのままの、等身大の巨大フンコロガシ。
実は主人公は、虫が大の苦手だった。ファーブル昆虫記も読めないくらい。
その前で、義父母も次々発作を起こし、巨大な羽虫に。泡を吹く主人公。
夫がうち明けた所では、この村の人間は特異体質で必ず虫になるのだという。
発作の起きなかった夫だけが、町に働きに出ていたのだ。
面くらいつつ、夫の為に生きようとする主人公。
畑仕事などこなしつつ、虫の体質ごとの家族の食事(他の虫など)。
それは地獄のような日々だった。しかし、いつしか主人公は慣れていく。
夫にも、明るくなったと喜ばれる。実際、時々首から下が虫になる事を
気にしなければ、みな陽気で愉快な良い人たちばかりなのだ。
しかし運命の時が訪れた。夫を発作が襲ったのだ。妻を振りきり、
閉じこもる夫。その手が見る見る細く、固くなっていく。
「ついに俺にも……」夫の目に涙があふれる。


328 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/26(土) 23:57:36
やがて、主人公の妊娠が告げられた。手を取って、初孫じゃと喜ぶ義父母。
嬉しそうな主人公にすがり、泣き崩れる夫。
「自分にも発作が起きた事を気にしてるんだわ。バカね、私もう
ちっとも気にしてないのに…」虫嫌いを乗り越えたことで、
主人公は未来に自信と希望を持っていた。どんな子でも、必ず立派に育てて見せると。
日々、赤ちゃん用の衣類など編んで、楽しく過ごす主人公。
月が満ちた。ここは旧家なので、お産は自宅。
奥の産室から、元気な赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。幾つも幾つも…
ふとんに横たわる主人公のかたわらに、立ちつくす夫。
「すまん……俺には言えなかったよ……」
ふとんの上には、体内を食い尽くされ、ひからびた主人公の死体。
夫は、卵胎生(卵生だが母親の胎内で卵が孵化し、出てくるもの)の体質だった。
しかも、孵化した幼虫が母親を内側から食らって誕生する種類のハチだった。
妊娠した時点で、もう主人公には未来など無かったのである。
産室から這い出て、廊下を群れをなして進む小さな赤ん坊たち(人間の幼児の姿)。
縁側では、そんな赤ん坊の群れを陽気に迎える義父母。
「おー、こりゃこりゃ」「名前を考えるのがたいへんじゃ」
その日、夫は初めて空を飛んでみた。「あっ、兄さんが飛んだ!」と弟。
庭では、赤ん坊の誕生を心から祝う家族たちの姿があった……。

ラスト、「あっ、兄さんが飛んだ」ぢゃねぇよ、と思った。
主人公が、またぽっちゃり可愛くて、いかにも良質のエサっぽい。
隙のない描き込んだ絵は、後味悪さをびゅーと引いて何とも言えなかった。


330 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/27(日) 00:10:54
>孵化した幼虫が母親を内側から食らって誕生する種類のハチ

じゃあ夫を産んだ義母はどうして無事なんだ?


332 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/27(日) 00:19:39
>>330
「孵化した幼虫が母親を内側から食らって誕生する種類のハチ」じゃなかったんでしょ。

333 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/27(日) 00:27:03
てっきり虫姿の赤ん坊を産んで妻が発狂とか
卵をボコボコ産んで気が狂うとか想像してたのに
もっとヒドス・・・

334 名前:327 投稿日:2005/11/27(日) 01:15:24
>>330
えと、そう、>>332さんの言うとおり、
家族といっても皆バラバラの体質なんです。
夫は、発作が起きるまで自分の体質が何の虫か知らなかった。
判ったときは、すでに妻は身ごもっていて手遅れ。
先に判ってさえいれば…みたいな、後味悪い設定です。

351 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/27(日) 15:53:11
なんとか昆虫記じゃなくて、
「ファーブル新婚記」ってマンガですな。

 

にぎり寿司三億年 (THE VERY BEST OF Tatsuhiko Yamagami)
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