血をちょうだい

375 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2005/11/27(日) 23:33:58
伊藤潤二はホラーコミック誌の「ハロウィン」楳図賞佳作からスタートしたわけだが、
それでは同じ雑誌の、やっぱり佳作に入った作品でも投下しよう。
作者の名前とか忘れてしまったが、少女ものっぽい絵柄の割にインパクトがあった。

主人公の少女は高校生くらい。家族は祖父母に父母、それに弟。特に問題もない家庭。
最近は老いた祖父母が、いろいろ自分たちで健康に気を使っている。
それは、普通の家族の会話の最中に起きた。祖父母が、少女の血が少し欲しいと言うのだ。
小皿に、ほんの一口で良い。それで、若さがもらえた気分になって元気が出ると聞いた、という。
冗談でしょ、と嫌がる少女。だがその場にいた母親と弟は、
「何言ってるの、あげなさい一口くらい」「お姉ちゃんケチだなあ」という反応。
じゃあ…と言うので、指をちょっと傷つけ、お小皿にほんの少し、血をたらす少女。
嬉しそうになめる祖父母。少女は、変な事が流行ってきたなあと思う。
だが祖父母は、少女の血を毎日ほしがるようになってくる。
父母はめんどくさがって相手にしてくれず、弟も祖父母の味方。
どうして、と責めると「だってお姉ちゃん、よく僕をいじめるもん」。
困り果てていると、学校の帰り、近所のお年寄りにも声をかけられる。
「○○ちゃんの血、元気が出るんだってねえ」「ちょっとだけくれんかのう」
以前親切にした事などを理由に、頼み込んでくる老人たち。
やせ細り、やつれていく少女。「どうして…私が何をしたっていうの?」
ふらふらの少女に、更に大勢の老人が近づき、取り囲み始める。
少女は次第に、立っていることもできなくなっていく。
何のへんてつもない、平和な町並み。静かな午後。
少女のまわりには、更に増える老人たち。「どうして…」
意識がなくなっていくような、少女の描写で完。

細かいとこウロだが大体こんな感じだった。
少女自身には、とりたてて悪い子的な印象はなく、ひたすら不気味で後味悪かった。