ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その40 » 丸い輪の世界(水木しげる)

198 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/01/24(火) 07:00:17
「丸い輪の世界」だったか、水木しげるの一番油の乗ってた時期の短編。

主人公の少年が、肺炎で幼い妹を亡くす。
妹思いだった少年はひどく悲しんで、雪の日には墓石の雪をはらったりしてやる。
ある日、遊び場所の広場の空間に、ぽっかりと丸い穴が空いていた。
ドアくらいの大きさで、少年が立って通ることができるくらい。
そこの景色だけが切り取られたよう。向こう側には花畑のような景色が見える。
好奇心にかられて入ってみると、蝶が飛び鳥が鳴く夢のような世界だった。
そして、花畑の向こうに、妹がいた。
再会を喜び、時の立つのも忘れて遊ぶ兄妹。
だが妹は寂しいと言う。ここからは出られない。ここにはオモチャも人形もない。
少年は、明日、妹の欲しがる物を持ってきてやると約束。
家に帰って報告すると、つらさに耐えていた両親からは悪い冗談だと叱咤される。
「でも、いるんだ!」翌日、ありったけのオモチャや人形を持って広場で待つ少年。
だが、夜遅くまで待ってもあの空間は現れなかった。
少年は待ち続けたが、もう妹に会うことができないまま、時は流れていく。
そして数年後。成長した少年は、とうとうあの空間に再び出会うことができた。
路地の真ん中に、少年を待つようにひっそりと空いていたのだ。
だがその朝、少年は急いでいた。大切な試験の日だったのである。
少年は、必死の思いでその場から去った。遅刻するわけにはいかなかった…。
しかし試験を受けながら、少年は全く集中することができなかった。
あの世界は何なのか。妹はどうしたろう。頭はその事でいっぱい。
終わってからあわてて戻ったが、もう空間はなかった。
そして少年は、それから二度と、その世界に出会うことはできなかった。

消防の時よんで、切なくてショック受けた。
オレは大人になっても、試験ぐらいで不思議な事から
目を背けたりしないぞ!と思ったもんだが…


200 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/01/24(火) 08:47:52
妹をあきらめてまで試験に臨んだのに
結果が散々になりそうな感じが
後味悪そうって言うか
気になるーー!!

209 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/01/24(火) 23:08:53
>>198
たぶんそれ、H・G・ウェルズの短編を下敷きにしているんだろうな。
概略を書くと、

ある日、イギリス議会のトップクラスの議員が、幼馴染に自分の過去を語りだす。

彼がまだ小さいころの話。道を間違えた彼は、白い塀に黄色いドアがあるのを見つけ、
そこを興味本位であけてみると、そこは楽園。
全て忘れて遊んでいたが、このままでは学校に間に合わない時間である事を思い出して、
そこから帰ることにした。
帰り道、当然彼はそのドアを探すが、どの通りにも見つからない。

すっかりそれを忘れた有る日、いわゆる上級官僚試験のような日、
馬車の中からそのドアがあるのを見つける。
思わず馬車を止めようとした彼だが、時間に間に合わない事から、
帰りに寄ればいいとそこをスルーした。お陰で彼は若手でもトップクラスに。
しかし帰りには、ドアはやっぱり見つからない。

それからも、人生の浮沈を決めるとき、時間が無いときに限って
それを見つけるが、そのたびに彼はドアをくぐらない事を選んだ。
結果彼は、彼の属する政党の重鎮としてなくてはならない存在になった。

と、ここまでが彼の話したところ。彼は、次は何があってもくぐろうと決めたと話し、その話を締める。
彼はその後、クラブから政党の集まりに出かけた。

その話を聞いた主人公は、次の日、彼が工事現場で転落事故にあって死んだことを知る。
その工事現場は、通常は薄汚い立ち入り禁止区域になっているが、
夜道では「白い壁に黄色いドア」が有るように見える様な場所だった…
おそらく、彼はそれを「黄色いドア」と間違えたのだろう…

という話。

 

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