彼女の行方を尋ねて

696 名前:1/3 投稿日:2006/02/13(月) 05:29:22
タイトルは忘れたが短編少女漫画。

老人が飲み屋で酔っぱらっている。
彼はしきりに一人の女優の話を繰り返す。
彼女がどんなに美しかったか、どんなに素晴らしい女優だったか、彼女はどこへ行ってしまったのか。
手当たり次第に人に絡んで彼女の行方を尋ねている。

付き合いが長い女将の話によると、彼は有名なカメラマンだった。
有名な大女優と恋仲であり、仕事でもパートナーだった。
しかし女優はある日急に引退し、姿を消してしまった。
以降の彼は仕事への意欲も失い、ただ彼女を追い求める廃人となってしまった。

そして奇跡が起こる。
彼女が姿を現したのだ。かつての若く美しい姿のままで。
彼女は老人との再開を喜んだ後、去っていく。
老人はその姿に向けて、必ずまた会いに来てくれと懇願する。


697 名前:2/3 投稿日:2006/02/13(月) 05:30:06
場面が変わって。
彼女が飲み屋の女将と会話をしている。
実は、彼女は女将の娘だった。
女将こそが、本当の女優だった。

過去を捨てた女将は老人にその事を告げずにいたが、
今でも自分を捜してくれる気持ちに打たれ、娘に身代わりを頼んだのだ。
娘も時を越えたロマンスに感激し、これからも老人を支えてあげたいと言う。
明日はお弁当を作って出掛けると、娘は張り切る。


698 名前:3/3 投稿日:2006/02/13(月) 05:31:34
老人は一人、彼女の訪問を待っている。
女優との過去は、散々なものだった。
彼女はとても我が儘で傲慢だった。
付き合いきれなくなって別れを切り出したところ、怒り狂ってカメラマンの仕事も取り上げられた。
業界全体から干された彼は、仕事の当てもなく落ちぶれていった。

だから彼は彼女を捜していた。
美しかった女が、醜く老いて恥をさらしていれば鬱憤も晴れる。
年老いた姿をあざ笑ってやりたかった。
しかし女は今でも美しかった。
そんなことは許さない。絶対に、許さない。

————————————————————
飲み屋の女将と老人の思い出の食い違いが、現実にありそうで後味悪い。
都合悪い話は忘れて思い出を美化するってありそうだ。
全く罪のない娘が可哀相。最後のシーン、あからさまに殺されそうだった。