ホーム » 小説 » 小説/さ行 » SO-far そ・ふぁー(乙一)

827 名前:1/2 投稿日:2006/02/28(火) 23:32:02
ここでもよく挙げられている乙一の短編。
『SO-far そ・ふぁー』

幼稚園児の“ぼく”は、父親と母親との3人暮らし。
自宅の居間にはソファがあった。
主人公を真ん中にして、父親が左、母親が右に座り、仲良く団欒していた。

ある日、両親の様子がおかしい。
お互いがお互いをまるで存在していないかのように振舞っている。
いつものように3人でソファに座ると、ソファの右側から母親が深刻な顔で言う。
「お父さんが死んじゃった…これからはお母さんと2人で頑張ろうね」
左側から父親が、真剣に言う。
「お母さんの分も強く生きような」
どうやら父親の世界では母が、母親の世界では父が事故で死んでしまったらしい。
やはり両親にはお互いが見えておらず、両方見えるのは“ぼく”だけで
“ぼく”は父の世界と母の世界の接点になっているらしい。
「おとうさんもおかあさんもこの部屋にいるんだよ」という“ぼく”の言葉に
最初は取り合わなかった両親も、だんだん信じ始める。

“ぼく”を挟んで父と母、以前のように仲のいい生活が戻ってきた。
父と母は相変わらずお互いが見えていない。
声も聞こえないため、“ぼく”が2人の会話を中継する日々。


829 名前:2/2 投稿日:2006/02/28(火) 23:35:38
しかしある夜両親が喧嘩した後から、少しずつ“ぼく”の生活がおかしくなってくる。
母親と父親、同時に見ることができなくなってきたのだ。
そのことをおそるおそる父親に告げると、驚いた父親に殴られてしまう。
自分が悪い子だから2人を一緒に見れなくなったんだと、自分を責める“ぼく”。

今まで重なっていた母の世界と父の世界が、喧嘩をきっかけに離れ始めており、
“ぼく”は離れた2つの世界を行き来しているだけだと理解する。
そして“ぼく”は決心し、母親に告げる。
「ぼくはおかあさんの世界で生きることにする」
その日から、“ぼく”は父親の姿を見ることができなくなった。

ラストは母親が医者と話している。
「父親の姿が見えなくなったみたいなんです」
母親が泣きながら医者に説明する。
「私の声は聞こえているのに、父親が話し掛けたり頭をなでても反応しないんです」
医者はしばらく母親と話しこんだ後、納得したように話す。
「あなたたち夫婦は夫婦喧嘩のあとで、お互い相手が死んだことにして生活をしていた。
 この子にもそう言い聞かせて付きあわせていたら、こうなってしまった…」

“ぼく”が父親の姿を見れなくなってから、両親は喧嘩をしなくなった。
「両親の仕打ちのせいで、幼いぼくが心に傷を負った」と周囲は推測するが
“ぼく”は自分なりに解釈をしている。
両親を喧嘩させないために、“ぼく”は望んでこうなったのかもしれないと。

要約してみるとそんなに後味悪くない気がするけど
切ない話なのかと思っていたので、読み終わったときはもやもやした。
夫婦喧嘩して相手を死んだことにしたり、それを子どもにも強要したりする親…
それも完璧なまでに相手を無視し続けている。
自業自得だけど子どもに認識してもらえない親もカワイソス…


833 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/03/01(水) 00:00:08
>>829
乙。面白かったです。
小さい子供にとって、親の言うことは盲目的に信じてしまうようなものなのに
つまらん意地の張り合いでそんなことしたら駄目だよね。
はじめに家族が和やかに描かれているだけに、自業自得だが余計に後味悪く感じた。

834 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/03/01(水) 00:01:10
>>829
その両親、凄い演技力だったんだな。そしてシツコイ性格。
子供が完全におかしくなるまでやってるなよ。

だけど、深刻な(多分)夫婦喧嘩をしている割に、二人揃って
相手を死んだことにして話を合わせている辺り、
充分仲良し夫婦に見えるんだがw

 

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