ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その42 » 鬼来迎(山岸涼子)

989 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/03/04(土) 00:00:02
山岸涼子の漫画の「鬼」が後味悪いよ

主人公の若い女性は都会で平凡だが安定した大企業の事務職。
しかし、気弱な主人公には男性上司等の叱責や、周りの強いもの勝ち!みたいな
生存競争の雰囲気がどうしても受け入れられずに退職し、
両親の反対を押し切って(両親が再婚同志であることも主人公は気に入らず義父を認めていない)
田舎の海辺に建っている屋敷に住み込みのお手伝いとして勤め始める。

その屋敷にはご主人を4年前に亡くしたという上品で美しく優しい奥様と
親切な先輩お手伝いさんの「二人暮らしで」主人公はとても親切にして貰った上に仕事も楽、
ここに来た事は正解だった!と喜ぶが気になる事と言えば、
時々奇妙な叫び声が聞こえるとか(奥様とお手伝いは鳥の声だと)
お手伝いがこっそりどこかに食事を持っていく気がする(見間違い?)、
庭にある小さな庭石を掃除の時に邪魔だからと動かそうとしたら
酷く怒られたり(動かすと不吉な事件が起きると言い伝えがあるとか)・・といった事ぐらいだった。

ところがある晩、主人公が眠っているといきなり布団の上に何かが落ちてきて、
慌てて電気を付けると、そこに居たのは10歳くらいの男の子・・しかも痩せさらばえて
片腕の手首から先が無く、目は虚ろ、体中傷だらけで、一見して正気でない状態、涎をたらしながら
「鬼が・・鬼が来る・・」と言いながら部屋の隅で怯えている。

悲鳴を上げた主人公に、その少年を連れて行きながら奥様の説明は
「あの子は私の大事な息子だけど、生まれつき障害があって自傷も酷く、
 あんまり哀れなのでここで人目から庇って生活している」
という事で、しかも「息子と一緒に海でボートに乗っていたご主人が転覆して
あの子を助ける為に自分が溺れて亡くなった」という話に主人公は奥様に同情する。


990 名前:989続き 投稿日:2006/03/04(土) 00:01:53
しかし、海辺の人たちと話しているうちに昔の少年は極普通の利発な少年で
手や知能に障害など無かった・・とか、疑問に思うようになった夏祭りの日、
動くと不吉といわれていた石が振動する、ごく小さな地震のためで
「ただの迷信だから」と無理に納得して祭りに行った主人公だが、
浜辺に行くと今まで無かった程の魚の大群が浜辺にまで押し寄せてきて、
主人公も沢山の魚を漁師さんから貰って予定外の時間に屋敷に帰ってくると、
少年の部屋から悲鳴が

驚いて部屋に行くとそこには鬼が立っていて、少年を棍棒で殴りつけているところだった。
・・鬼に見えたのは般若のお面を被った奥様の姿・・
実は少年をこのような恐ろしい異常な姿にしたのは奥様で、
奥様は愛する夫が死んだのは少年のせいだと恨み4年間我が子である少年を虐め続けていた為だった。

こんな子のせいであの人は死んだ!こんな子は死ねば良いのよ!
優しく美しい奥様が口にする恐ろしい言葉に、呆然とする主人公

そこへ未曾有の大津波が浜辺を遅い、村人の殆どと屋敷の全てを浚ってしまうが、
主人公だけが奇跡的に助かる。


991 名前:989続き2 投稿日:2006/03/04(土) 00:02:32
それから時間がたって、傷も癒えた主人公は小さな町の会社で
社員達に追いまくられながら仕事をしている。「人使いが荒い会社」と愚痴る同僚社員に
主人公は「でも外見だけ妙に優しい人よりもずっとマシよ」と卓見して笑う主人公

事件に関しては「皆、死んでしまったので何が事実なのか、今では判らないわ。
本当に我が子にあんな恐ろしい事が出来るのか・・人は鬼になれるのか・・
だって事実はみんな津波と共に流れていってしまったのだから、もう考えるの止しましょう」
と自己完結で終わり

でもそりゃ主人公は助かって生き直せるから良いよ、病院で目が覚めた時、
嫌っていた義父が泣いて喜んでいているのを見て母親の再婚を許せる雰囲気になるのも良い!
他の村人は気の毒だけど、鬼の母親の奥様や虐待に加担していた、
お手伝いが津波にさらわれたのも自業自得かも知れん。

しかし、苛め抜かれてあの気のふれた少年はどうなるのだ?
何の罪も無いのに、最初は利発に生まれ付いていたはずなのに
父親がたまたま自分を助ける為に死んだからと、実の母親に6歳から
一緒に津波にさらわれて死ぬまでの4年間、腕が切断されるまで
精神が破壊されるまで苛め抜かれて、誰にもその存在を知れれないまま、
どんな酷い事をされたのか世間に知ってもらえないまま死んでしまった少年は
浮かばれんじゃろう!!ゴウラァ!と後味悪い漫画だった


993 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/03/04(土) 00:22:23
山岸凉子だけどタイトルは別じゃまいか?
自分が読んだ「鬼」は飢饉の話だったような。

994 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/03/04(土) 00:33:34
>>993
うむ。
確か>>989の作品は「鬼来迎(きらいごう)」というタイトルだったと思うよ。
山岸涼子はタイトルやテーマが「鬼」に関する作品がいくつもあるから混ざっちゃうんだよね。

 

夜叉御前―自選作品集 (文春文庫―ビジュアル版)
夜叉御前―自選作品集
(文春文庫―ビジュアル版)
わたしの人形は良い人形 (山岸凉子スペシャルセレクション 1)
わたしの人形は良い人形
(山岸凉子スペシャルセレクション 1)


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...