青空をあなたに(桃川春日子)
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194 名前:1 投稿日:2006/03/08(水) 00:28:38
- 桃川春日子という人の「エレクトリック・マーメイド」という単行本収録の、
「青空をあなたに」という作品。主人公は残酷な盗賊団の頭領、スカー。だかその残酷なスカーはある日、
襲った裕福な一家の幼い息子の命をとらずに見逃し、
それが原因で盗賊団全員は軍隊に捕らえられ、地下牢に入れられる。
スカー達が入れられた牢には、何故か一人の少女がいた。
ぼろぼろの服に垢まみれの顔や髪、だがとびっきりの青空色の瞳をしたその少女は、
禍の姫だという迷信を信じた父親である国王に、生まれたときから地下牢に閉じ込められていた。
外を知らぬがゆえに純粋無垢、天真爛漫に育った姫は、牢に閉じ込められた囚人たちの心の憩いとなっていた。
何も知らない姫は、囚人たちを「いつか自分をここから救い出してくれる『騎士様』」と信じているのだ。
それまでろくなことをしてこなかった囚人たちは、ただまっすぐに自分たちを「騎士様」と慕ってくれる姫に
心を洗われる思いを抱き、精一杯の贈り物(板切れに爪で歌を刻んだものや、自分が身につけていた革紐など)
を姫へ送り、遊び相手になったのち、やがて一人ずつ牢を去っていった。
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195 名前:2 投稿日:2006/03/08(水) 00:29:18
- そんな中、冷たい父親に「お前は生まれついての盗賊だ」と言われて育ったスカーは、
「騎士様」と慕ってくる姫に反発を覚え、初め冷たく当たる。
「所詮俺は盗賊の息子だ」と自嘲するスカー。そんなスカーに、盗賊団の生き残りの一人が言う。
「先代に口止めされていたんだが、あんたは先代が襲った騎士の一家の生き残りで、
本当は騎士の家に生まれた血筋のはずなんだ」と。戸惑うスカー。
そんなとき、スカーに姫が尋ねる。「空ってなんだ?」生まれたときから牢で育った姫は、
空を見たことがないのだ。困惑しつつ説明してやりながら、
スカーは自分の鏡を取り出して姫の瞳を鏡に映し、言う。「お前の瞳と同じ色だ」
驚き、鏡を見て喜ぶ姫。それを見て、鏡を「やるよ」と言うスカー。
姫は一瞬驚いた顔をした後、ぽつりと呟く。
「あんたも行っちまうのか?」姫は言う。
「騎士様」はみな、姫に何かをくれてから、必ずどこかへ行ってしまう。
みな、「必ず助けに来る、そのために行くんだ」と言うんだ、と。
それなら自分は元気で待っていなければ、と笑う姫に、何も言えないスカー。
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196 名前:3 投稿日:2006/03/08(水) 00:29:55
- そして、スカーと一緒に最後まで残っていた盗賊団の生き残りも、やがて牢から去っていった。
スカーに、姫に渡してくれ、と手作りの櫛を残して。
櫛を持ってきたスカーに、「どうやって使うんだ?」と尋ねる姫。
スカーは髪を梳いてやり、ついでに姫に顔を洗わせる。
そこに現れたのは、白銀の髪(それまで汚れていたので灰色に見えていた)に碧空の瞳、
日の光を知らない抜けるような白い肌を持った、本当の「姫君」だった。
驚くスカーにはしゃいで見せた後、姫は再び静かにスカーに尋ねる。
「俺が行かないでくれって言っても、あんたは行っちまうのか…?」
スカーは思う。
「俺が本物のあんたの騎士なら、あんたを救い出すために命をささげることも出来るのに」
そして、泣きじゃくる姫にスカーは言った。
「どんなに時間がかかっても、必ずあんたをここから救い出す。そしていつか、あんたに本物の青空をやる」
スカーの言葉に、姫は笑って答えた「俺、待ってる。騎士様の言葉を信じる」
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197 名前:4 投稿日:2006/03/08(水) 00:30:32
- やがて、スカーが牢から出る日がやって来た。牢から連れ出され、
外に繋がる階段を上るスカー。隠し持っていたナイフで腕を縛る縄を切り、
押さえつけようとする役人たちを振り払って、階段を駆け上るスカー。
そして、輝く太陽の下に飛び出したスカーを待っていたのは、自分を狙う弓矢を構えた、
何人もの兵士たちだった…
最後に、太陽の下を歩く姫とスカーの画と、スカーのモノローグ
「約束したんだ 地平まで広がる大きな青空を
輝く光を浴びて 微笑むあんたはどんなに綺麗だろう
あんたに 青空を」姫がとってもいい子で、改心(?)したスカーにも感情移入しまくりーので
もうとにかく後味悪くて泣けた。゚(ノД`)゚。 騎士様たちをまっすぐに信じて
待ってる姫がカワイソス。゚(ノД`)゚。
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199 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/03/08(水) 01:09:06
- 切なくて雰囲気のある話なのに、姫が俺女。
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202 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/03/08(水) 01:32:31
- まさかあそこでスカーが最強の騎士の才能を発揮して、一人で一軍を倒すとはなあ・・
予想できなかったよ