マラケシュ心中(中山可穂)

731 名前:1/2 投稿日:2006/03/16(木) 02:23:30
中山可穂のガチビアン小説が後味悪かった

主人公は女への熱烈な愛を綴る歌人。
男名を使っているが、女性。見る人が見れば彼女の歌は
女から女への情念を込めた歌だとわかるらしい。
そこそこ売れているが、過激すぎて正統派な人たちからは敬遠されている
彼女は歌人であると同時にかなりの遊び人で様々な女性と浮名を流した

歌人は有名なアイドル歌手に見初められ、彼女の作詞を担当した事がある。
その歌は彼女の類稀なる歌唱力もあってかなりの大ヒット。
しかし、本業ではない仕事のそのあまりの売上げを少しばかり恐れて歌人は退散。
歌人に惚れたアイドルは新しい歌をくれくれとうるさい。
アイドルのマネージャーも同じ事を言ってくるが頑として引き受けない。
それまでは自分で作詞作曲を担当していたアイドルは、
歌人への恋患いのあまりかなにもつくれなくなっていく。
テレビに顔も滅多に出さなくなる。マネージャーはせっぱつまって
脅しのような事もするが歌人は相変わらず引き受けない。
アイドルはまだ16歳で、流石の歌人も手を出す気にはなれなかった。

歌人は奥の細道外国版の仕事を頼まれ気晴らしに海外へ。
現地で女を調達していたが、日本が恋しくなり知人に頼み、
日本の女を送ってきてもらう事に。
何人かいる恋人が送られてくると思いきや、何故か現れたのはアイドル。
とうとうライブすらすっぽかして彼女はもう芸能界からは抹殺されたも同然だった。

性関係こそ結ばないものの、そこそこ楽しい日々を送り一時帰国した歌人たち。
飛行機の中で読んだ日本の新聞に驚く。
そこには、落ちぶれたアイドルがレズ歌人と駆け落ちという記事があった。
両方の名前が晒されており、しかもアイドルがヘアヌード写真集で復帰と書かれていた。
こんな子供になにをさせる気だと憤った歌人は、お土産として買ってきたワインを
新聞を書いた男の頭でかちわり、今度はマネージャーに会いに行く。
今まではそこそこいい人っぽく書かれていたマネージャー豹変。


732 名前:2/2 投稿日:2006/03/16(木) 02:25:25
あんたが歌を書かないから悪い、ライブすっぽかしでこちらも損をしたと言ってくる。
「今から歌でもなんでも書くからそれだけは許してくれ」と土下座して頼むが
相手はより高圧的な態度に出るだけ。
アイドルは突然近くにあった灰皿でマネージャーの頭をかちわった。
2人は知人のゲイのもとへと逃げる。
アイドルは12歳のときにマネージャーにレイプされていた。
半泣きでざまあみろざまあみろと叫ぶ。
奥の細道の旅にまたアイドルを連れて行き海外逃亡をしようと決意、
空港に行った所で生きていたマネージャーたちに捕まる。
歌人の名を叫びながら引きずられて行くアイドル。
歌人は止めに行こうとするが、暴力を奮われた上に
本命の人にも手を及ぼすぞと脅され、アイドルを見捨てる事に。
その後アイドルがどうなったかは書かれていない。

海外で鬱々とした日々を過ごす歌人のもとへ、本命がやってくる。
本命には夫(歌人の尊敬する師匠)がおり、ノンケだが、
主人公を放っておけなくてビアンの道に進む事を決意した。
アイドルの事をすっかり忘れ熱い日々をすごすが、やがて本命の妊娠が発覚する。
師匠は既に老人で、それまでは本命と関係を持った事も無かったが
本命の歌人への思いに気付き、渡さないためにレイプしたのだった。
しかも、本命が教えたらしく師匠まで海外にやってきた。
「結局男がいいのかよケッ」と本命を迷い易い道に置き去りにして一人でほっつく歌人。
自暴自棄になってぶっ倒れ、目覚めると師匠が本命と無理心中したとの報せが。
本命は生き残れたが、もう会わない方がいいだろうと歌人は判断する。

数年後。
デパートで自分の歌名と同じ名の子供と出会う歌人。
母親は、かつて自分が最も焦がれた女性だった。
2人が再開に涙を流し合い終わり。

本命は全然主人公に傾かないし、夫持ちだし昔の男が忘れられんし、
対してアイドルはめちゃくちゃいじらしいからその子とくっつくと思ったら
ダークサイドに落ちちゃうし…萌えるどころか鬱だった


733 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/03/16(木) 02:55:15
後味どうこうってより話自体が何じゃそりゃっていうか…

734 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/03/16(木) 03:09:01
>>732
マネージャーの性別は男?
男だとしたら、女同士のドロドロ恋愛話を期待していたら、
レズ恋愛そっちのけで女と男がお互いを振り回し合う話だった訳だ。
レズ恋愛目的で読んだら後味悪いだろうね。

736 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/03/16(木) 03:38:05
>>733
説明が下手だったかもしれない。
後味悪いが名作だから読んで欲しい

>>734
マネージャーは男だが、あくまでも脇役。
アイドルも脇役で、本筋は歌人が人妻に熱い思いを寄せる話。
男は恋愛の障害物みたいな扱い

実際に読んでみると、アイドルが連れてかれるところが本当に絶望感に溢れてて後味悪かった。
主人公のアイドルへの思いがどんどん変化していくのをこれまで読んでいただけに

はじめはうざいガキだな→外国に来るまで慕ってくれるなんて→
なんか可愛いかもなよしよし→子供にこんな事するなんてふてえ野郎だ→
この子は絶対に守らなきゃ→ごめん なんだかんだいって本命が一番大事

この心理描写の流れが読んでる方も絶望的にさせられる。

歌人の師匠も性別とか超越していいアドバイザーな老人という
描写が徹底されてて、ジゴロな歌人が手を引いてしまうほどの神っぽい人だったのに
何十歳も年下の妻をレイプ→老人なのに単身海外へ→無理心中
のコンボでウヘァとなった 老いてても恋する男で激情に駆られちまったんだなと

 

マラケシュ心中 (講談社文庫)
マラケシュ心中 (講談社文庫)