ホーム » 小説 » 小説/ま行 » まゆかの恋慕(新堂冬樹)

673 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/10(水) 20:29:37
「吐きたいほど愛してる」という短編集はタイトルからしてアレだが
中身もアレで、全ての話が後味悪かった。その中でも一番後味悪いと思った話。

青年が帰宅すると、アパートの自室の前に美女が倒れ込んでいた。
美女は片足に骨が見えるほどの酷い怪我を負っていた。
しかも着衣がぼろぼろに乱れている。すぐさま彼女が性被害にあったのだと察する。
美女を部屋に運びこみ、青年は美女の足の応急手当をした。
目覚めた美女はどうやら話せないようだった。筆談で会話をする。
救急車は呼ばないでほしいと美女は言う。治れば出るからしばらく家に置いてくれと。
性被害は当人にとってはデリケートな事。美女の言う事を聞くことにした。
青年は美女の美しさに既に惹かれていたので、迷惑だとも思わなかった。
美女は携帯を持っていたので、アドレスを教えてもらいメールで会話するようになった。

風呂に入れない彼女の体をふいてあげたりとエロゲみたいな展開になったりする。
美女は小さなカバンを持っているが、けしてそれを見せようとしない。寝る時もかかえている。
青年が聞いたところ、美女は一応家族に帰れない旨を知らせていると言うが、
本当かどうか青年は疑い、美女の携帯をこっそりと覗く。送信履歴には自分の名前しかない。
受信履歴には自分の名前が並んでいたが、見て行くと違うアドレスからのものがあった。
そのメールは「どこまでも追ってやる」「他の男に走るな」というような脅迫めいたものだった。
美女は見知らぬ男に暴行されたのではなく、乱暴な恋人から暴行を受けた後に逃げ出したのかもしれない。

美女の世話をしながら、青年は少し前に猫を拾って世話をした事を思い出す。
猫はナイフによって傷を負わされていたが、青年が手当てをして回復させた。
やがて飼い主だという中年男性も現れて、猫は無事に家に戻った。

ある日テレビをつけると、殺人事件のニュースがされていた。
父が惨殺され、娘が行方不明だという。父の名前には見覚えがあった。
そして、娘の名前は美女のものと同じだった。しかし同名などいくらでもある。
楽観的に構えていた青年。しかし美女は違った。


674 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/10(水) 20:31:54
美女は恐ろしい顔でカバンから血まみれのナイフを取り出す。
「殺さないでくれ!」鬼気迫る美女に向かい叫ぶ青年。
美女は悲しそうな顔をすると、カバンから人型の小さな肉塊を取り出しそれを滅多刺しにした。
わけのわからない青年の前で、美女はそのナイフで自分の腹を刺しめちゃくちゃにかきまわした。
もう助からないだろうというぐらい出血した後に、美女は最後に携帯をいじり、絶命した。

返り血で血まみれになりながら状況を飲み込めず呆然とする青年。
携帯の着信メロディが鳴る。美女が最後の力で青年にメールを送ったようだった。
泣きながらメールを読む青年。内容はあらかじめ書いていたのか、長文だった。

見覚えがあるわけで、報道されていた惨殺死体は猫の飼い主の男性だった。
美女は早くに母を亡くし、それから父と暮らしていた。
父は、7歳の美女に性的虐待をし、それから性的虐待が日常的なものとなった。
そのショックでか美女は言葉を失った。嫉妬深い父は、やがて飼い猫さえ殺そうとした。
だが猫は青年によって救われた。結局また父の手にかかり死んでしまったが、美女は青年に恋するようになった。
半ばストーカーのように美女は青年を見つめ続け、癒されていた。
ある日、父の激しい暴行に堪えかねて美女は父を殺してしまった。
その際抵抗され足に怪我を負い、また、父に孕まされていた子供が流れ落ちた。
美女は混乱しながら血まみれのナイフと流れ落ちた子供をカバンに詰めて逃げた。
気づくと、いつも心のより所にしていた青年の部屋の前で倒れていたのだった。
このままではいられないとわかりながらも青年の優しさに甘えていたと美女はメールの中で自虐していた。

全てを知った青年は、自分が美女を怖がったせいで美女を追い詰めたのだと嘆く。
そして美女の腹に刺さるナイフを取り出し、それで後を追うことを決意した。

ウジをチャーハンの材料にしちゃうキモデブオタの話とかも気持ち悪かったけど、
なんかこれは親父が最悪すぎるし二人が切なすぎるしで一番後味悪かった


677 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/05/10(水) 21:38:06
>>673-674
長文乙。
やるせないなあ…。

 

吐きたいほど愛してる。 (新潮文庫)
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