ホーム » スレ別 » 後味の悪い話 その49 » 白い幻影(手塚治虫)

289 名前:1/2 投稿日:2006/06/20(火) 21:36:58
手塚治の短編漫画

主人公(♀)は愛する婚約者と旅行中、船が沈んで、婚約者もろとも海へ投げ出されてしまう。
必死に婚約者の手を掴もうとするが、
婚約者は主人公の目の前で波にのまれ悲鳴を上げながら海の中へと消えていった。
幸いにして主人公は、その後無事に救出されたものの、
波にのまれていく婚約者の姿が忘れられず、ふさぎこみ始める。
そしてついに、どこにいても何をしていても、
婚約者の最期の姿(下半身が波にのまれ、彼女に向かって絶叫している)の幻影が見えるようになる。
主人公の周りの人達は、「気のせいだ」と彼女をなぐさめるが、
主人公は「彼は一人だけ助かった私を恨んでいるんだ」とますます落ち込んでしまう。
そして、幻影に追い詰められてノイローゼ状態になった主人公は、人里離れた別荘に一人引っ越す。
そこでも幻影は消えなかったが、もともと最愛の人だったこともあって、
次第に主人公はこの幻影に親しみを感じるようになる。
そして、幻影に向かって話しかけたり、ピアノを聞かせたりして、毎日を過ごすようになる。


290 名前:2/2 投稿日:2006/06/20(火) 21:37:53
それから数十年の月日が立った。
ある日、別荘に主人公と同じ年ぐらいの女性が訪ねてくる。
「じつは、お尋ねしたいことがありまして……」
そう言った女性の後ろから現れたのは、歳をとった婚約者の姿だった。
数十年前、婚約者は女性の故郷の海に流れ着き、その後、彼を介抱した女性と結婚したという。
その際、婚約者は事故のショックで流れ着く以前の記憶を一切失っていた。
「ここを偶然通りかかった時、主人がこの別荘に見覚えがあるような気がする、と言いまして。」
主人のことで何か知っていたら教えてほしいと言う女性に、主人公は首を振る。
「いえ、残念ですが。私もこの別荘に夫と二人で暮らしていますが、私も夫もその人のことを知りません」
「そうですか」と別荘を立ち去る二人。
去っていく女性と元婚約者の姿を窓越しに見ながら、
「さようなら(婚約者名)さん……」とつぶやく主人公。
彼女の後ろには、相変わらず、若いままで叫び続けている婚約者の幻影がいる。

294 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/06/20(火) 22:06:58
>>289-290
正統派の後味悪さだね。
婚約者も主人公も介抱した女性も、誰一人悪くない。
悪くないけど無駄になった女性の一生を思うと・・・

 

鉄の旋律 (手塚治虫漫画全集 (96))
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