ホンコン・ローズ(榎本由美)

296 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/06/20(火) 22:31:31
老人がらみで、榎本由美のコミック「ホンコン・ローズ」思い出したよ。

主人公はイケイケOL風の若い娘。老いた祖母の付き添いで香港ツアーに参加する。
ところが、ツアーは70歳過ぎの老人ばかり。実はツアーの真の目的は、
若返りの秘薬「ホンコン・ローズ」を探す事だった。
いわゆる回春剤だがどんなモノかは不明。老人たちは皆、真剣そのもの。
男はあの機能を取り戻し、女は若く美しい頃に戻れる…祖母も本気のようだ。
「若い貴女には解らないわ。失ったものがどんなに大切か……」
呆れるものの、しんみりする主人公。現地ガイドのイケメン男・李も、
この街では、そんな薬膳を出す店があっても不思議ではないという。
ところが翌日、バラのスープを出すという店に一人で行ってみた老人が
死体で発見される。大金を払った後に亡くなったようだった。
びびる主人公は祖母に帰国をうながすが聞いてもらえない。
さらに怪しい商人が、祖母にホンコン・ローズを食べさせると言って近づいてくる。
牽制する主人公だが、夜中、祖母は一人で出かけてしまった。
あわてる主人公。更にホテルの前で、また別の老人が死んでいるとの知らせが。
その手には、バラの花が一輪にぎられていた。


297 名前:296 投稿日:2006/06/20(火) 22:32:27
の頃、祖母は何処とも知れないビルに厨房で、一皿のスープを前にしていた。
バラの花びらの浮かぶそのスープを、ためらい無く飲む祖母。
すると見る見る変化が現れる。シワは消え、肌はつややかに。髪は黒く。
そしてその前に、戦争で死に別れた夫が、若いままの姿で現れる。
泣きながら口づけし、情を交わす祖母。喜びの涙がとぎれる事はなかった。
夜道を走ってビルを突き止めた主人公は、ふらふらになって倒れる祖母を見る。
だかその表情は幸せそう。「あの人に会えた……私はもう……」
祖母を抱き上げる主人公の前にビルから現れたのは、現地ガイドの李青年だった。

ガスで眠らされた主人公に、口移しでバラの花びらを食べさせる李。
もともと本当の若返り薬など存在しない。古くから伝わる媚薬にすぎない。
それは一時的に性感を高めるが、量によっては死をもたらすもの。
それでも老人たちは危険をおかして花を口にする。たとえそれが幻覚でも。
バラの作用でちょっとアレな具合になり、李に濃厚にやられまくる主人公。
だが主人公の方も止まらない。その耳に、李の声が響く。
「ねえ、人と言うのは業が深いね…
老人達に、金と引き替えに夢を見せて、何が悪い……?」


298 名前:296 投稿日:2006/06/20(火) 22:34:09
幸い祖母は回復し、帰国する主人公たち。ガイドの李は姿を消した。
李はホンコンマフィアと関わりがあり、麻薬の売人でもあった。
だが主人公は、死んでいった老人達が、満足の笑みを浮かべていたのを思い出す。
そして李との一夜。主人公は、初めて味わった感覚を忘れられない。
そして思う。もう一度体験できるなら、何を引き替えにしても良いと。
独白する主人公。
「彼を責める事はできない…。香港では、何が起こっても不思議じゃない…。」
                           おしまい

結局はヤクの売人にしか過ぎない李を最後は擁護しちゃうし、
夢をかなえてやれば他の事は不問かよ?というのが引っかかった。
それがロマン、みたいな締めくくり方が、何とも後味悪ス。


311 名前:296 投稿日:2006/06/21(水) 08:26:25
自分が読んだのは雑誌発表時で、
蒼馬社の「絶対恐怖」創刊号でした。
だから一応ホラーコミックwこういうアンモラルなオチとは
思ってなかったので驚いたっす。他には、ちょっと前に出てた
櫻井そうしとか、御茶漬海苔とか三家本レイとかが、
エグくてエッチなギタギタ系ホラー描いてたです。この雑誌、まだあるのかな。