ホーム » 小説 » 小説/ま行 » 水底から君を呼ぶ(大石圭)

277 名前:1/2 投稿日:2006/10/04(水) 21:49:21
大石圭の「水底から君を呼ぶ」
主人公・卓也の妻とその友人たちが次々と水中で消失するようになる。
心霊現象が関わっているのだが、その発端の事件がめちゃくちゃ鬱になる

ごく幸福な少女・綾乃は6歳の時に家族と共にキャンプに行く。
中州にテントを張り川のせせらぎを聞きながら眠りに落ちた。
だがしばらくして、突然の豪雨によってテントは流され、
家族四人は荒れ狂う川の中に取り残された。
「だから中州は危ないって…」「お前も賛同したじゃないか…」
言い争う両親も兄も流されていき、綾乃だけが救助された。
綾乃は叔父家族の家に引き取られた。
そこで綾乃は使用人のように扱われ、
時には事故の後遺症で水を恐れている事を利用されて
叔母に逆さ吊りにされてバスタブに漬けられる事もあった。
学校では男子からも女子からもいじめられていた。
そしていつからか叔父は性的虐待を行なうようになり、
9歳の夏に綾乃は徹底的に汚されてしまった。

だが綾乃は叔父を嫌ってはいなかった。
叔父は行為のたびに綾乃をきれいだと誉めてくれた。
従姉も叔母も学校の人々も皆綾乃を罵倒する中で、そんな言葉をかけてくれたのは叔父だけだった。
中学に上がると、男子からのいじめは止んだ。彼らは美しい綾乃の
関心を引きたいがためにちょっかいをかけてきていただけだった。
己の美しさを自覚した綾乃は、中学卒業後に家を出て、
男の家を転々とするようになった。誘われるままに風俗で働き、
ヤクザの下っ端の女になり、AVに出され、背に青龍と観音の大きな刺青を彫られた。
綾乃はなにも拒絶しなかった。家族が死んでからの様々な人々からの仕打ちは
絶望しか与えず、綾乃は拒絶の言葉すら忘れていた。
だがある時、ふとこれではいけないと思い立ち、ヤクザ男の家を出て、まともな肉体労働をしはじめた。
華奢な綾乃には酷だったが、生きているという実感が久しぶりにわいた。


279 名前:2/2 投稿日:2006/10/04(水) 21:52:06
そこで卓也という男性と出会った。
卓也は貧乏な家庭で育ち、ぐれた兄二人は人を殺して刑務所にいる。
その兄たちを反面教師にするようにして卓也は努力を重ね、
いまでは綾乃がアルバイトをしているその一流企業の正社員だ。
綾乃と同じようにけして恵まれていたわけではないのに
それでも努力で自分の道を切り開いた卓也を綾乃は尊敬する。
綾乃は卓也に自分の生い立ちを語り、背の刺青を見せた。
卓也はそれを受け入れ綾乃を愛し、二人は結ばれた。

婚約した二人は海外旅行に出かけた。
卓也はスキューバダイビングをしに行き、綾乃はカラツチの花でレイをつくっていた。
そこに、卓也の大学の後輩の女性たちが現れた。
綾乃は嫌がったが、女性たちによって半ば無理矢理ボートに乗せられた。
海上で突然女性たちは豹変し、綾乃の服を剥ぎ半裸にさせて刺青を露わにさせ、
そのまま逃げ去っていった。このままホテルに戻って刺青を人前に晒すのはつらかったが、
なんとかボートを漕いで陸に行こうと綾乃は懸命にボートをこぐ。
だが戻ってきた女によって、ボートは穴を空けられ沈み行こうとしていた。
綾乃はボートと共に沈んでいき、家族が死んだ日から恐れ続けていた水の中で死んだ。
綾乃を殺した女は、妻が行方不明になって悲しむ卓也を慰め、やがて結婚にこぎつけた。

卓也の妻たちが次々と消えていったのは、綾乃の復讐だった。
妻は、卓也に恋焦がれるあまりに綾乃に殺意を抱き、友人たちと共に綾乃を殺したのだった。

真相がわかるまでは、卓也は自分の最愛の人を殺した当人だとは知らず、
妻の死を悲しみまくってて、しかも卓也の説明する妻は賢く美しい完璧人間のように描写されているので
真相とのギャップがすごかった。俺の説明だとありがちな転落人生だが
実際に読むと綾乃の不遇っぷりもすごいし。
読んでるうちにどんどん不幸になっていった綾乃が
卓也に出会ってから幸せに向かっていったのに再び突き落とされる様がひどすぎた


280 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/10/04(水) 21:55:08
嫌われ松子の生涯のド演歌版みたいだな

282 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/10/04(水) 22:03:15
>卓也の妻たちが次々と消えていったのは、綾乃の復讐だった。
からわかり難くなるよな。
綾乃をねたんで卓也の後輩女どもが綾乃を殺して
んでそのうちの一人が妻の座に納まった、まではわかるが
>卓也の妻たちが
って卓也は何度も結婚を繰り返してたのか?

283 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/10/04(水) 22:05:54
卓也の妻とその仲間たちじゃね

287 名前:本当にあった怖い名無し 稿日:2006/10/04(水) 22:14:27
つーかまず冒頭の
「ごく幸福な少女」
でしばらく立ち止まってしまったぜ

289 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/10/04(水) 22:31:40
>綾乃の復讐
がいまだにわかりません。呪いとか、超常的なことでもあったん?

290 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/10/04(水) 22:34:33
>主人公・卓也の妻とその友人たちが次々と水中で消失するようになる。
>心霊現象が関わっているのだが、その発端の事件がめちゃくちゃ鬱になる

心霊現象つかって次々と水中で消失するように復讐したんだよ


291 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/10/04(水) 22:39:45
>次々に友人達が消えていったのは綾乃の復讐だった

ってなってるけど、それは後になって幽霊になった綾乃が復讐かなんかで舞い戻ってきたか何かって事?
そこから突然わかりずらい


359 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/10/05(木) 08:38:53
「水底から~」は俺もこの前読んだ。
卓也と綾乃の生涯が交互に書かれて行くから
はじめは綾乃が酷い境遇のせいでキチガイになって
一方的に卓也に惚れた末に、卓也の妻の美奈子を呪ってるのかと思ってたが、
それまでまともに書かれていた美奈子の方がキチガイだった。
卓也視点だと美奈子はスタイル良くてお嬢で多趣味で仕事もできてちょっと勝気な美人で
しかも優しく自分を慰め励ましてくれた人なわけで
かなり素晴らしい人扱いだっただけにショッキングだった

物語の最後。
美奈子の友人(も既に水中で消滅)からの告発のメールを発見し、卓也は事件の全てを知る。
仕組まれていたとも知らずに卓也は、綾乃を殺した美奈子を愛し、結婚までしてしまった。
だが今は美奈子への思いは憎悪しかなかった。しかしその美奈子はもういない。
どうしようもない思いを抱え、ヒッキーになる卓也。もう会社も辞めるつもりだった。
最後に綾乃と日々を送った国に赴き、綾乃が沈んだ海に潜る卓也。
深い海の中に、綾乃は生前と変わらぬ姿のままでいた。
卓也は微笑みかける綾乃を抱きしめる。綾乃も抱き返す。
ボンベの空気がなくなってきても綾乃は卓也を離さない。
きっと綾乃は俺にここで一緒に死んで欲しいんだ…卓也はそう思い、抵抗しなかった。
気づくと、卓也は海岸で倒れていた。ボンベや足ひれは流されたのかなくなっていた。
幻覚だったのかと思いながらそのままの格好でホテルまで戻る。
何故か皆がじろじろと見てくる。卓也を指差す子供もいた。
部屋に戻って卓也は気づく。自分の背に異変が起こっていた。
そこにはかつて綾乃の背にあった青龍と観音の刺青があった。
まるで綾乃を背負えているような気がして、卓也は号泣した。

文体のせいもあってかなり美しいシーンなんだが、
会社辞めて刺青背負ってこれからどうするんだよ

 

水底から君を呼ぶ (光文社文庫)
水底から君を呼ぶ (光文社文庫)


後味悪い
(後味悪ければクリック)
読み込み中 ... 読み込み中 ...