グラン・ヴァカンス―廃園の天使(飛浩隆)
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301 名前:1/2 投稿日:2006/10/04(水) 23:41:32
- 飛浩隆の小説「グランヴァカンス 廃園の天使」から。
挿話なんで小説のあらすじとかはここでは省く。昔々あるとことに若い奥さんをもらった農夫がいた。
奥さんはあるとき刺繍の才能に目覚め、
赤ん坊の世話だの野良仕事だの旦那との夜のおつとめだのを放棄して
ひたすら刺繍に打ち込む。しかも出来た作品は売ると良い値段がついて
はっきり言って旦那の稼ぎよりも収入が上。
刺繍をする楽しさと充実感でいっぱいの嫁を見て
「刺繍に比べれば俺との結婚生活は、今の嫁にとっては糞同然」と気づいた旦那は狂った。庭に大人だとうずくまってしか入れないほどの小さくて頑丈な檻を建造し
嫁を寝間着一枚で無理やり押し込んで監禁。もちろん刺繍の道具は全部没収。
一日一回お粥を食わせて、時折思い出したように棒を用いて
檻の格子の隙間から嫁をどつきまわす。
近所の人にたしなめられるも「嫁に憑いた悪魔を払ってるんだ」と
強弁の末追い払う。最初は抵抗していた嫁も、
垂れ流しの糞尿が染み込んだ寝間着がドロドロに腐った頃に正気をなくした。
抵抗をやめて、ただ檻の中でうずくまってモゾモゾ動くだけになる。
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302 名前:2/2 投稿日:2006/10/04(水) 23:42:13
- あるとき旦那は嫁の上下の前歯がなくなっていることに気がついた。
それから三ヵ月後、さらに犬歯と奥歯までなくなった。でも原因がわからない。
さらに大事件発生。嫁が妊娠した。
旦那は激怒して嫁を問いただすとあっさり認める嫁。
そのへんをうろついてる乞食の子だ。檻の格子に尻をピッタリとつけてヤらせた
あんたよりよかった、と歯のない口で嫁は笑った。
旦那は嫁を檻から出そうとしたが、付けていた錠前は雨ざらしだったせいで錆びて鍵が刺さらない。
しかも丈夫に作ったからちょっとやそっとじゃビクともしない。
助けを呼ぶなら近所の人を呼べばいい、そうしたら子供の父親が誰か喚いてやる、と
せせら笑う嫁の顔は刺繍一直線のときよりも、さらに幸福そうに輝いていた。
嫁から刺繍を取り上げたのに、嫁の築き上げた世界はまだ健在だったのだ。旦那はそこでブチ切れ、納屋から斧と鉈を持ってくるとブン回して檻を壊し
嫁の腹に宿る「罪の子」めがけて一撃を加える。
返り血で真っ赤の旦那、その旦那にあかんべえをして息絶える嫁。大きく開いた嫁の口の中に白い粒々があった。磨り減って丸まった歯だった。
檻の太くて固い格子の裏側にびっしりと刺繍の図案が彫ってあった。
嫁は歯を毟り取ってそれで図案を彫り、旦那にバレないように歯茎に植え戻して隠していたのだ。
図案は檻の半分側にだけ彫られていた。残り半分はまっさらなまま。
嫁の口の中の歯はいくらも残っていない。そして嫁の妊娠。
これらことが頭の中で結びついたとき、旦那の頭は恐怖のあまり壊れてしまった。檻の中で嫁の死体を抱いた旦那が近所の人に発見された。
声を掛けてもゆすっても無反応で檻から出ようとしない。
数日後に旦那は死んだ。開きっぱなしだった目の玉はカラカラに乾いていた。嫁の方が一枚上手といえばそうなんだが、子供がかわいそうすぎ。
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305 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/10/04(水) 23:55:01
- >301-302のは、
赤ん坊の骨で続きを彫ろうとしてたのかね?
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314 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/10/05(木) 00:28:08
- で>301-302の故意に妊娠したのは…
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334 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2006/10/05(木) 01:18:26
- 私もよく分からなくて気持ち悪い
>嫁は歯を毟り取ってそれで図案を彫り、旦那にバレないように歯茎に植え戻して隠していたのだ。
図案は檻の半分側にだけ彫られていた。残り半分はまっさらなまま。
嫁の口の中の歯はいくらも残っていない。そして嫁の妊娠。
これらことが頭の中で結びついたとき、旦那の頭は恐怖のあまり壊れてしまった。この辺りがどうも分からなくなってしまった